マツダ技報2023
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122122112 2 12iXCipxxixxxCiini2WW14pi2jiiiijpxxjXXXXxp 0D ―164―(𝑆𝑆𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖: Surface Area) i2Si1Surface Spherical Surface Projected Surface Q: Center of Sphere pxC’: Low Pressure Point X: Grid Point Computational Grid (a) Step1 (a)Step1WWFig. 4 Projected Surface onto a Sphere with a Radius of 1const. (b) Step2(b) Step22.1 圧力断面極小旋回法 まず,渦同定手法のベースとなる圧力断面極小旋回法(4)(6)について解説する。この手法は,圧力の二次元的な極小点であり,かつ旋回条件を満たす渦中心点を求め,それらを線でつなぐことで低圧旋回渦の渦中心軸を同定する手法である。 はじめに,圧力が二次元的な極小値となる点を求める。任意の位置xにおける圧力pを求めるために,格子点Xまわりでのテイラー展開による二次近似式, (2)を用いる。ここで,同じ添え字の繰り返しについては,1から3まで和をとる。式(2)の右辺第三項は,圧力を空間で二階偏微分した圧力ヘシアンである。圧力ヘシアンは対称行列であるため,その固有値 λ1,λ2,λ3は実数(ただし,λ1>λ2>λ3)となり,対応する固有ベクトルe1,e2,e3は正規直交基底となる。式(2)は圧力ヘシアンの固有ベクトルで座標変換することで,(3)と標準形に変形できる。x′ は座標変換後の基底で表現した位置ベクトル,C′ は定ベクトルである。λ2>0のとき,e1–e2平面上において,圧力は下に凸の二次曲面となり,点C′で極小値をもつ。このときの計算格子と格子点X,極小点C′の関係をFig. 3(a)に示す。ここで,固有ベクトルe3を渦軸の向きと定義する。Fig. 3(b)に示すように,e3に平行で点C′ を通る直線上で,格子点Xとの距離が最短になる点Cを渦中心点の位置とする。このとき,式(2)の近似精度を保つためには,格子点Xと渦中心点Cの距離が近いことが必要である。そのため,渦中心点は計算格子の内部にあるもののみを抽出する。具体的には,立方体の一辺の長さが Δ の計算格子であれば,全ての i=1, 2, 3に対して,(4)Fig. 3 Procedure for Finding the Vortex Center Point2. 方法e3: Vortex Axis C: Vortex Center Point が成り立つという条件を課す。 次に,旋回条件を満たす点のみを抽出する。その条件として,e1–e2平面において,流線が楕円的であることを課す。具体的には,e1–e2平面での速度勾配テンソルW′ が複素固有値をもつこと,すなわち判別式Dが負,(5)であることを課す。 全ての計算格子において,渦中心点の位置決定と旋回条件の判定を行い,最短距離にある渦中心点同士を線で結合することで,渦中心軸を構成する。2.2 自動車周りの流れ場への応用 圧力断面極小旋回法を自動車の流れ場に応用するためには,一章で述べた課題を解決する必要がある。本節では,筆者らが行った圧力断面極小旋回法の拡張(7)(8)(9)について解説する。(1)さまざまな形の計算格子への対応 圧力断面極小旋回法では,テイラー展開による近似式(2)の精度を保つため,渦中心点が計算格子の内部にあるという条件を課している。立方体の計算格子の場合は,式(4)を用いて容易に判定できる。しかし,自動車周りの流れ場のシミュレーションでは,さまざまな形の計算格子を用いるため,それらの計算格子においても,渦中心点が計算格子の内部にあるか判定する必要がある。 そこで,筆者らは,任意の多面体において,点が内部にあるか外部にあるかを判定する球面投影法(10)を採用し,実装した。この方法について簡単に解説する。Fig. 4に示すように,n個の多角形で構成される多面体において,i番目の多角形を,判定したい点Qを中心とする半径1の球面に投影する。このとき,投影された球面での表面積をSiとする。なお,表面積の正負は,点Qが多角形の表側に位置するか裏側に位置するかで決定する。全ての多角形において,投影された表面積の総和を求め,総和が0であれば点は外部,4πであれば内部にあると理論的に決定できる。ただし,演算中に発生する数値誤差を考慮し,点が多面体の内部にある条件式として,(6)であることを課す。

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