マツダ技報2023
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第54回 市村地球環境産業賞 貢献賞受賞テーマ:自動車塗装工程における凝縮水を用いたVOC回収技術   受賞者:加藤 雄,篠田 雅史,寺本 浩司    概要: 自動車の塗装乾燥工程において発生するVOCを,ヒートポンプを利用し回収処理することにより,環境負荷低減および省エネルギーを実現する技術です。今回の技術は,燃焼によってVOCを除去する従来の方法に代えて,ヒートポンプで水蒸気を凝縮させた水(凝縮水)にVOC成分を吸着させ,水とともに回収するシステムを採用することにより,塗装乾燥炉からの排気ゼロを実現。従来比63%のCO2削減(年間で約710トンの削減)を見込んでいます。また,システム内の熱や水を再利用することにより,水資源や電力の節減にも貢献します。第72回 自動車技術会賞■技術開発賞受賞テーマ:防錆開発プロセスを変革する防錆機能迅速評価技術  受賞者:浅田 照朗,佐々木 將展,江﨑 達哉,重永 勉,高見 明秀   概要: 塗装部の防錆機能を電気化学的な手法で迅速に定量評価することによって,防錆開発プロセスを変革する技術である。本技術の活用により,①市場での使用条件・環境を踏まえた要求性能を数値化,②高機能技術開発の効率化,③防錆性能をリアルタイムに定量管理して品質異常を予知,④得られたビッグデータから最適材料・工程の机上検討による試作レスの道が開け,防錆モデルベース開発による商品開発プロセスの革新を実現できる。―168―VOC回収式乾燥システムの仕組みCO2 とVOCを同時に削減するVOC回収技術の実現評価機器マツダ技報:No.38(2021)pp.117-119マツダ技報:No.38(2021)pp.133-138塗装部の耐食性迅速評価技術のモデルベース研究開発■浅原賞技術功労賞受賞テーマ:自動車用溶接技術の研究開発及び軽量化技術開発における永年の功績  受賞者:深堀 貢   概要: 受賞者は,自動車の溶接技術を中心とした研究開発や軽量化技術の研究に携わり,その実用化に尽力してきた。車体軽量化については,車体の各部材の機能分析に基づいた軽量化を推進し,車体フランジ部へのレーザ溶接技術や接着剤とスポット溶接を併用したウエルドボンドの適用,フレーム内部への発泡樹脂充填材の適用等により操縦安定性や衝突性能などの車両性能の大幅な向上を合わせて実現した。シャシーなどの足回り部品の軽量化については,溶接として多用されているアーク溶接部の耐食性向上技術の開発に注力し,MBR (Model Based Research) 視点での工法研究を推進し,信頼性向上による軽量化だけでなく,広く業界の技術の発展に寄与した。受賞技術紹介代表的な受賞技術をご紹介いたします(2022年1月~2023年5月)

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