マツダ技報2023
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―15―[ euqroT[ rewoPmN]PH07000]00 Fig. 4 Fuel Consumption Characteristic3.1 出力性能 新型3.3Tは,幅広いニーズに応えるため,Hi-PowerとStd-powerの2つのエンジン仕様を設定した。両仕様ともに幅広い領域で余裕のある走りを実現するために,排気量拡大とターボ大型化により高出力化を達成させながら,ツインスクロールターボにより低速トルクとレスポンスを向上させた。また,新型3.3Tを共通仕様で各国市場に展開できるようE10燃料に対応させた。 両者の出力性能を Fig. 3に示す。最大トルクは500Nm/ 450Nmを幅広い領域で発生し,最高出力は254kw (340HP)/209kw (280HP) を達成した。現行2.5Tに対して,Hi-power仕様では最大トルク19%,最高出力50%向上,Std-power仕様では最大トルク7%,最高出力23%向上させた。これらにより低回転から高回転まで,どこからアクセルを踏み込んでも余裕のあるトルクと出力を体感できる加速性能を実現した。Fig. 3 Torque and Power Performance3.2 燃費性能 Fig. 4に正味燃料消費率BSFC (Brake Specific Fuel Consumption) の比較を示す。エンジンの燃焼効率の視点としてBMEPで比較すると,現行2.5Tに対して圧縮比を高めたことで低中負荷域での燃費性能を改善し,併せて高負荷域でのノッキングによる燃費悪化を抑制した。競合スキャッターバンドと比較して,世界トップクラスの低燃費を達成した。排気量を拡大しているのでトルク軸で比較した場合,低トルク域の燃費を維持しつつ中高トルク域の大幅な燃費改善となる。現行2.5Tに対して,マイルドハイブリッドと8速多段オートマチックトランスミッションとの組み合わせで,走行頻度の高い領域をこの燃費改善域へとシフトさせ,車両燃費改善を施した。 Fig. 5のBSFCマップに示すように,高効率な運転領域Fig. 5 BSFC MAP4. 進化技術4.1 筒内流動強化による燃焼改善 新型3.3Tは,熱効率向上のために流動強化による燃焼改善に取り組み,現行2.5Tに対して点火時の乱流エネルギーを向上させるため,タンブル流動を大きく強化した(Fig. 6)。タンブル流動強化のため,吸気ポート形状は,現行2.5Tから燃焼室流入直前のエッジ形状をシャープにし,ポート上面の曲面化とを組み合わせて流れを更に剥離させ,筒内への流動の指向性を強化することで,吸気工程でのタンブル流動の強化を実現した(Fig. 7)。Fig. 8に示すピストン形状は,現行2.5Tのバスタブ型キャビEngine speed [rpm]3000400050006000New 3.3T(Hi)New 3.3T(Std)New 3.3T(Hi)New 3.3T(Std)Previous 2.5T3. 性能パフォーマンス60050040030020010010002000Previous 2.5T1000900800700600500400300200100を広い範囲で実現しているので,実用域と考えられる領域での燃費性能向上につながると考えられる。

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