マツダ技報2023
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(2)“伸び感”の定義 社内で走りの開発部門と共創し,アクセル開度一定の状態で,回転数に対して加速度の仕様を3つ用意し,エンジンサウンドからも,回転上昇に対して聞こえる周波数の仕様を3つ用意した。走りは一定加速度からの乖離量を指標とし,エンジンサウンドは6気筒の基本次数であるエンジン回転に対して3倍に相当する周波数から持ち上げた周波数の変化分を指標とした。お互いの仕様を組み合わせて評価することで,ねらいの加速度が維持しているような加速感を実現する領域を定め,これが“伸び感を感じる領域”と定義した。合わせて,回転上昇の変化に対する聞こえる周波数の変化は,先行開発した6気筒ディーゼルエンジンを基準とし,高回転域において,聞こえる周波数の変化が下に凸に上昇変化するような領域を定義した(Fig. 6)。―27―]zH[ycneuqerF]zHycneuqerf ycneuqerF foPAG( ml[ no�areeccaA[ ]2^s/])ABd[ leveL erusserP dnuoSCX-60(Diesel)Enginge speed [rpm]CX-90(Gasoline)Fig. 5 Audible Frequency LineFig. 6 Driving Feel with Audible Frequency and 4.1 トルクに対するリニアな音の変化 トルクに対する音の大きさをリニアな変化にするために,回転に対する基本次数は,エンジン振動,トランスミッション振動,リアデフ振動をトルクに対してリニアAccelerationFig. 7 Inline 6 Engine CharacteristicAudible frequency rangeli� up4. 具現化rpmExcessibe SoundGoodSoundfeelforDrivingLinear, BoringGAP of accelera�onGAPrpmEngine Order 以上,トルクに対してリニアな音の変化と,干渉音の非線形な変化,及び回転に対して周波数上昇する音,これらの要件から,回転に対する各次数の音圧レベルを分配し,エンジン回転の1次~13次まで目標を設定した。に伝わるように,伝達部品と車体を造り込んだ。実現にあたり,CX60からの変化点,かつ寄与の高いリア周りの駆動系部品と車体パネルの最適化を行うことで,CX60と同特性となるようにして実現した。4.2 加速時に干渉音で感じる “高揚感” トルクに対する干渉音の変化を非線形にするために,直列6気筒エンジンのレイアウトと組み合わせたマツダ独自となる長い吸気管長による周波数の特徴(250Hz)を活かし,トルク変化の大きい回転数帯で,エンジン回転6次を基軸に,干渉する次数となる6.5次と7次を励起させるようにユニット特性を作り込んだ。よりダイレクトにドライバーに届けるために,吸気音を車室内に直接届ける吸気ISE(Induction Sound Enhancer)を活用することで,ベースとなる干渉音を造りこんだ(Fig. 7)。 また,6気筒エンジンの回転基本次数と干渉する0.5倍となる次数の周波数バランスを確認し,吸気音や機械特性では実現できない領域は,オーディオスピーカーからも補完することで干渉音を造りこみ,小さなアクセル操作でも精密に呼応し,トルクに対して非線形に変化する干渉音を実現させた。4.3 回転上昇とともに加速感のある “伸び感” 回転上昇に対する周波数上昇を作るために,6気筒エンジンの回転基本次数となる3次を基軸に,その倍音成分となる6次,9次,12次の周波数バランスを実現するため,エンジン振動と吸気音をベースに低-中周波数域の音を造り込み,聞こえる周波数で定義した次数成分を

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