マツダ技報2023
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―32―gk/JkFig. 8 Bpillar Deformation ModeFig. 9 Bpillar MaterialFig. 10 Cross Section of BpillarFig. 11 Energy Absorption E■ciency of BpillarFig. 12 Front Door Impact Bar4. 後面衝突性能開発Energy Absorption Efficiency50% UPConventionalCX-90保する役割をもっている。CX90では,Bピラーに材質や板厚が異なる鋼板をテーラードブランクで組み合わせたホットスタンプ材を採用することで,高強度化と衝突エネルギーの吸収を最適化した(Fig. 9)。更に,Bピラー上部は,応力集中する稜線部分を隙間なくレインフォースメントで補強することにより,効率的に曲げ耐力を向上させた(Fig. 10)。これらの構造により,単位質量当たりのエネルギー吸収量を従来比で50%向上させることができた(Fig. 11)。 ドア内部のインパクトバーは,ドアの変形を抑制し,ドアから車体へのロードパスとしての役割がある。CX90では,フロントドアに従来から設置している上部に加え,下部にもインパクトバーを設置した(Fig. 12)。下部のインパクトバーは,衝撃荷重をドアから強固なヒンジピラーやクロスメンバーへ直接伝達するロードパスとなるので,ドアの変形抑制とBピラーの負担を軽減することができた。 後面衝突では,従来車と同様に時速80km/hで車幅70%に可動バリアが追突する衝突モードにおいて,客室の変形を抑え,衝突後もドアの開閉を可能とし,フロア下に配置した燃料タンクやバッテリーパックも保護することを目指した。そのために,荷室エリアで高効率に衝突エネルギーを吸収するリアフレーム構造を採用した。 従来は,リアフレームの曲げ変形を主体にエネルギー吸収させていたが,CX90ではCX60で採用した軸圧縮により高いエネルギー吸収をするテーパー形状リアフレーム構造を踏襲した。また,CX60に対してリアフレームが108mm長くなることでモーメントによる曲げ変形が起こりやすくなる変化に対し,リアフレームの板厚と材質を調整して耐モーメント性を上げている。これにより,CX60と同様にリアフレームをエネルギー吸収効率が高い軸圧縮を実現させ,従来車からリアフレームの板厚を下げながら,約2倍のエネルギー吸収を可能とした(Fig. 13,14)。

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