マツダ技報2023
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woL i 寳山 修士 山根 貴和 ―40―gndahShgiHamorhCFig. 18 Interior Panel Appearance in CX90General Dark Red A B Large Fig. 19 Chroma Shading and GraininessArtisan Red Fig. 20 Artisan Red Premium Metallic and Soul Red Crystal MetallicArtisan Red C D Graininess Small Soul Red Crystal 5. 開発結果6. おわりに三村 夏海 野中 隆治 今回,塗装距離を従来の60%とし,かつエアー流量を約15%下げて塗装する工法を導入した。これによりO/Sを減らし,内板部への入り込みを抑制することで,上質感のある内板カラーの作り込みを達成した(Fig. 18)。また,従来O/Sとして塗装範囲外に拡散していた塗料をボディーに効率よく付着させることができたため,塗料の使用量を約10%削減でき,環境性能の向上にもつながった。 アーティザンレッドプレミアムメタリックは,一般的なダークレッド色と比較して,粒子感が小さく,彩度陰影感が高くなっており,“透明感の高い鮮やかな赤”と“濃厚さ”を実現した(Fig. 19)。また,アーティザンレッドプレミアムメタリックはソウルレッドクリスタルメタリックに対し深みが増しており,赤の世界観を広げることができた(Fig. 20)。 現在マツダでは塗装領域のCO2排出の更なる削減に向けて,より低温で塗膜が硬化し,省エネを実現する塗装工法の開発などの環境対策を進めている。また塗装という工法に限定せず,最終的な塗装レスを目標にフィルムなどの工法にも取り組みを開始しており,直近ではMAZDA 2にてルーフフィルムの量産を開始し上塗工程を2周させる2トーン塗装と比較して,CO2排出量を半減した。このようにマツダでは,継続的な工程革新を行っており,今後も意匠性と環境性能を両立させるべく,より高度な課題を乗り越え,サスティナビリティに貢献しながらお客様に更なる感動をお届けできるよう,関係各者が一丸となって本気のモノづくりを継続していく。最後に,アーティザンレッドプレミアムメタリックの開発・生産にご協力いただいた社内外全ての関係者の皆様に感謝の意を表したい。■著 者■参考文献(1) 中野さくらほか:「“SOUL RED”の開発」,マツダ技報,No.30,pp.83-87(2012)(2) 平野文美ほか:「ソウルレッドクリスタルメタリックの開発」,マツダ技報,No.34,pp.87-92(2017)(3) 松田隆臣ほか:「ロジウムホワイトプレミアムメタリックの開発」,マツダ技報,No.39,pp.139-144(2022)(4) 篠田雅史ほか:VOCとCO2を同時削減する新塗装技術「アクアテック塗装」,自動車技術,Vol.70,pp.77-82(2016)岡本 圭一

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