マツダ技報2023
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―43―wowoecnereffielttili hcumenap EACenapn 0 Dlfni llfni lFig. 8 Shape Error due to Mesh QualityFig. 9 Di■erence of Wrinkles between CAE and Fig. 5 Wrinkle Generation in the Molding Process3.3 成形実態に合わせた解析条件と外観評価 シワの発生する大きな要因の一つとして,ホールド状態での張力不足があげられる。成形過程での張力状態によって変化する材料流入量が実パネルと大きく乖離しており,その一致率は30.3%しかない状態であった(Fig. 6)。現状のCAE精度ではシワの発生を正確に予測できないため,材料流入量を一致させることが最優先課題と考え,材料流入量±3mm以内,一致率80%以上を目標とした。Fig. 6 Di■erence between CAE and Actual Panel Inflow マツダの金型製作部門において金型改善で使用するプレス機で検証を行い,成形CAEとの予実差の要因を調査した。プレス成形の計測結果よりホールドから下死点までの間,プレス設備における左右のクッションパッドの中央が沈みV字に傾いていることが判明した。このクッションパッドの傾きによりブランクホルダーにかかるクッション圧が部位ごとで不均一となっていた(Fig. 7)。しかし,成形CAEでは1パッド構造を模した均圧条件のFig. 7 Cushion Pad Tilt Phenomenon3.4 CAEでのシワ発生量/範囲の課題解決 実パネルと成形CAEを比較した結果,実パネルで発生しているシワが成形CAEでは確認できなかった。これはCAEモデルの形状を表現するためのメッシュとシワの形状との乖離(以下,メッシュ誤差と記載)によってモデル上で正確にシワ形状を表現できない(Fig. 8)。そこで成形CAEモデルのメッシュ誤差を調べたところ±50μmとなるため,50μm以下のシワについては表現できないことが判明した(Fig. 9)。そこで,メッシュ誤差±15μm以下を表現できることを目標とした。Actual PanelWrinkles Outer Blank Wrinkles disappeared Fr Inner Blank Rr Inner BlankWithin tolerance CAE Analysis Results Actual panel Results ウハウを技術として手の内化し,高品質なパネルを量産可能な金型改善を一発で完了させるプロセスが必要であると考えた。そこで求める外観品質を一発で実現するためのプロセス実現のために成形CAEの予測精度向上に取り組んだ事例について紹介する(2)。3.2 成形CAE精度の問題 CX90の絞り工程の実パネルと成形CAEによる解析結果を比較した結果,成形CAEでは成形過程で引き延ばされてシワが抑制されており(Fig. 5),実パネルでは成形初期に発生したシワが引き延ばされず残留している。これらについて調査した結果,下記の問題があることが判明した。(1)CAEと実パネルにおける材料流入量の違い(2)CAEでのシワ発生量/範囲の違いため,実際に型へかかっている圧力と乖離が生じていた。そこで対策としてクッションパッドの傾きによる不均一な成形圧力を再現させるために,圧力条件を部位ごとに数値設定できるように3分割制御とした。次に分割した部位ごとの圧力値を設定するため,ピンのレイアウト情報よりピン1本当たりの荷重を元に入力圧力を決定した。 成形CAEの3次元モデルを調査した結果,シワの形状を表現するにはモデルの形状を構成するメッシュのサイズが過大であると判明した。これは成形CAEにおいて計算実行時にメッシュのサイズを自動変更するシステムが組み込まれていることが要因と判明した。成形CAEでは成形過程において下型とパネルが接触し,パネルの曲げ成形が発生した際に,曲げ角度に応じてメッシュサイズが細分化

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