マツダ技報2023
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―44― selknir fw oeziS②Holding state ①Materials injection④Forming completion ③The lowest point Fig. 13 Forming Process of a Bending MoldProcessContentsFig. 10 Panel and Mold Cross Section in the Molding  そこで対策としてシワ発生箇所のメッシュサイズを細かくした結果,メッシュ誤差±15μm以下を満足させた上で,成形過程から下死点に至るまでシワの発生を確認した(Fig. 11)。Fig. 11 Results of Application of Countermeasure 3.5 成形CAEによる一発改善方案の策定 上述した施策を適用したCAE最適条件による解析を実施した。結果として,材料流入量は一致率84%を実現しこれにより外観不具合の発生部位と量も一致率85%を実現した。次に,本施策をCX90におけるサイドフレームで再度検証を行った。結果,CAE解析で導きだした改善方案でシワの発生量を85%抑制し,一発で要求品質を実現することができた(Fig. 12)。Fig. 12 Mold Modification Process Application Results4. 曲げ工程における成形挙動制御の取組4.1 曲げ工程とその課題 曲げ工程とは絞り工程で成形したパネルに曲げ加工を行い,パネルの稜線を成形する工程である。プレス成形における曲げ工程の成形過程を(Fig. 13)に示す。まず①絞り工程を終えたパネルを金型にセット,②上型及びパッドを降下させ,金型内部につけられたガススプリングの荷重でパッドと下型にてパネルを保持,③上型が下死点まで降下し曲げ成形完了となる。Wrinkles during molding (10mmUP) Before CAE No contactCAE Analysis Results85% down After Actual panel No contact(a) Fig. 14 Panel Malfunction (a) and Light Reflection (b)4.2 曲げ工程における押さえ面圧の目標値決定 シャクレを抑制するには,成形時における曲げ応力がデザイン面に伝搬するのを防ぐための十分な押さえ面圧でパネルを保持する必要がある。そのため,まず押さえ面圧の目標値の決定に取り組んだ。パネルを切り出した(b) される。今回のシワの発生箇所は下死点に至るまで形状に接触しないため(Fig. 10),メッシュサイズは粗い状態を維持するため,メッシュ誤差が大きいままであった。 成形中のパネルは,パッドからの保持圧がかかった状態で成形R部に曲げ応力が加わることで塑性変形し製品形状が定まる。この際パネルの成形R部に意図しない極小の凸(以下,シャクレと記載)が発生することがある(Fig. 14a)。CADデータに比べ数十μmの乖離ではあるが,これにより美しい光のリフレクションが部品間で寸断され,プレミアム品質実現に要求される繊細な光の陰影が表現できないことが判明した(Fig. 14b)。デザイナーの求める光のリフレクションを実現するには,現状から70%のシャクレ量の抑制が必要であった。

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