マツダ技報2023
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―45― il Optimal condition Current condition erusserpecafrus gndoHFig. 17 Comparison of Holding Surface Pressure 4.4 CX90での織り込み施策と効果確認 以上の結果を踏まえ,以下の二つの施策を織り込んだ。施策①:曲げ成形が行われる製品R部近傍にスロープを設定し,押さえ幅を狭めた(Fig. 18)。施策②:押さえ面圧不要部の上下型クリアランスを板厚クリアランスよりわずかに広めることで総押さえ面積を減らした。Fig. 18 Reducing Width of Holding Surfacebetween Optimal Condition and Current ConditionCAEを用いて,押さえ面圧を変化させた際のシャクレ量をプロットした。魂動デザインを再現できるシャクレ量目標値及び形状や成形条件から押さえ面圧の目標値を決定した。4.3 押さえ面圧の目標達成に向けた検証 実型で押さえ面圧を計測した結果,シャクレ発生部位に関して目標値に対して不足していることが判明した。押さえ面圧を増やすには伝達荷重のインプットとなるガススプリングの総荷重を増加させることが効果的だが,それではガススプリング費が上がってしまう。また,総荷重が増加すると金型破損を防止するため金型剛性を高める必要があり,鋳物重量UPに伴い鋳物費も上がる。そのため対策方針として,ガススプリング総荷重を維持したまま,必要な箇所に必要な分だけ押さえ面圧を負荷することを理想とした。この考え方の基,ガススプリングからパネル押さえ部までの荷重伝達経路を整理した(Fig. 15)。Fig. 15 Load Path from Gas Spring to Holding Surface 上記とエキスパート及び現場作業者の知見,ノウハウをもとに,特に影響の高い因子を抽出して品質工学を活用し取り組んだ。実験はサイドフレームの金型構造を模した簡易モデルを作成し,CAEにて行った(Fig. 16)。CAEを用いた理由は,制御因子に設計要素を取り入れた際に,実験ごとに異なる金型構造が必要となり,膨大な実験費用及び工数が必要となるためである。詳細モデルではなく簡易モデルを用いた理由は,金型の詳細構造によらない寄与度の大きい重要因子を絞り込むことを目的とし,計算の安定性/効率を考慮したためである。Fig. 16 CAE ModelA.Gas SpringB.Pad rigidity C. Holding surfacePad stroke Panel 130% Up Pad Bending blade Punch  検証の結果,パッドの高さ,パネルを押さえるパッドの押さえ面幅が特に寄与度の大きい重要因子であることが判明した。まず,パッド高さについては,高さが低い方がロバストかつ重要部位の押さえ面圧が高くなる結果となった。これは高さが低いほど曲げ剛性が低くなるため,公差内で製作ばらつきが生じたとしても金型形状に沿いやすく,また荷重伝達ロスが少ないためと考えられる。またパッドの押さえ面幅については,狭い方が押さえ面圧が高くなり,選定した因子の中で最も寄与度が大きいという結果になった。これは幅を狭くすることで押さえ面積が小さくなり,押さえ面近傍における圧力の分散がMin化されたためと考えられる。以上の結果から最適条件を決定し,CAE解析による再実験を行った結果,130%の押さえ面圧向上を見込めることが判明した(Fig. 17)。 これら二つの施策効果をCX90の製品パネルにて効果確認,評価を行った。押さえ面圧を計測した結果,過去車種と比較して大きく増加し,目標値を満足していることを確認した。 また,シャクレ量も目標としていた70%改善を大きく上回る90%の改善を確認した。結果として,非常に良好な光のリフレクションを実現した製品パネルを得ることができた(Fig. 19)。

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