マツダ技報2023
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(2)Cooled EGRによる効果 Fig. 8に2300rpm高負荷域における同一負荷でのEGR率違いでの各性能を示す。EGRを増量することでノッキングを回避できるため点火時期を進角できる。また,NOxの排出量の減少からEGRを増量することで熱容量の大きいCO2の増加に伴い燃焼温度が下がっていることが分かる。結果,EGRを増量することで燃費の向上だけでなく,排ガス温度を低下させた。高負荷運転域では,排ガス温度が低下することで λ=1より小さく(燃料を濃く)する必要がなくなり,全域 λ=1運転を実現し燃費とエミッションを両方改善することができた。―55― ΘΘdd //QQdd(3)点火プラグ1本化による疑似ノックの抑制 ロータリーエンジンは燃焼させることで共鳴が起こりやすい特徴がある。これは,膨張行程にもかかわらずT側は燃焼室容積が小さく高周波が減衰しないためであり,ノッキングのような音が発生する場合もある(以降,疑似ノック)。Fig. 9に13B型におけるT側の点火有無での燃焼室内の圧力を示す。T側を点火させることで燃焼室内で圧力脈動が生じ,共鳴が認められる。8C型では燃焼の作り込みによるL側主体の急速燃焼と発電機ユニッ]CDTa.ged[ gnmiT notingImpp[ xON .pmeT saGi][5]555 tsuahxE]hwk/g[ CFSB]]ggeedd//JJ[[ ]]aaPPMM[[ eerruusssseerrPPFig. 7 Air-fuel Ratio and Temp. DistributionFig. 8 Performance due to Di■erence in EGR Ratio--3300Fig. 9 Combustion Chamber Pressure of 13B 4.2 理想のロータリーエンジンの燃焼を実現する技術 ロータリーエンジンの燃焼の特徴としてL側を主体に混合気が燃え,燃焼は2段燃焼になっている。これは,点火起点の火炎伝ぱで燃える主燃焼と,主燃焼とは別のT側からのスキッシュ流で促進される燃焼である。その特徴として,13B型にて1点点火(L側のみ)で燃やした時の熱発生率をFig. 10に示す。熱効率を追求する上ではスキッシュ燃焼を早期化し主燃焼と合わせることで1段燃焼にすることが重要である。また,1段で燃焼する上で燃焼速度を速める必要があるが,燃焼室容積の小さい初期燃焼の時期に急峻な燃焼をさせると壁面への熱伝達が大きくなる。8C型では,2.1節に記載したロータリーエンジンの構造的な課題を考慮した理想燃焼を描き,燃焼を作り込んだ。66005500440033002200110000--3300--1100Fig. 10 Characteristics of Rotary Combustion 33000000rrppmm HHiigghh LLooaaddWWiitthh TT SSiiddee IIggnniittiioonn ((22 IIggnniittiioonn))WWiitthhoouutt TT SSiiddee IIggnniittiioonn ((11 IIggnniittiioonn))0033006600EEcccceennttrriicc AAnnggllee[[ddeegg..aaTTDDCC]](2 Ignition vs 1 Ignition)MMaaiinn CCoommbbuussttiioonnSSqquuiisshhCCoommbbuussttiioonn003300EEcccceennttrriicc AAnnggllee[[ddeegg..aaTTDDCC]](1 Ignition of 13B)990011220022550000rrppmm HHiigghh LLooaadd66009900112200RReett..1100EECCCCAAddeeggAAddvv..0HHiigghh℃℃2200℃℃LLooww0HHiigghh22330000ppppmm HHiigghh LLooaaddLLooww0BBaaddGGoooodd0330000ppppmm55gg//kkwwhh10EGR Ratio [%]151015EGR Ratio [%]2010EGR Ratio [%]2010EGR Ratio [%]15202015トならではのエンジンの動かし方からT側の点火プラグを廃止し,L側の1本のみとした。これによりT側で点火することで励起される疑似ノックを抑制し,圧縮比を高めることで熱効率を向上させた。

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