マツダ技報2023
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(1)理想燃焼を実現する燃焼室形状 ロータリーエンジンの燃焼は,レシプロエンジンのように点火時期の進角に従い,リニアに急峻にならない。これはスキッシュ流で促進される燃焼によるもので,熱発生パターンは点火時期と燃焼室形状から生成される燃焼室内の流動で制御できる。Fig. 11に8C型の燃焼室形状と主要部位のねらいをそれぞれ記載する。―56―]][[.. ppmmeeTTssaaGG ttssuuaahhxxEE]]ggeedd//JJ[[θθdd//QQddd.a.b.c.3000rpm High LoadHHiigghhEExxppaanndd TT SSiiddee ffrroomm 88CC 20℃LLooww22000000225500003300000033550000EEnnggiinnee SSppeeeedd[[rrppmm]]44000000HHiigghhLLooaadd88CC--3300--1100Fig. 14 Comparison of Heat Release at Setpoint1133BB88CC9900112200Fig. 11 Shape of Combustion Chambera. T側の容積の最小化(クエンチエリアの最小化)・2段燃焼を回避し,排ガス温度の低減・スキッシュ流動の発生時期と流速を制御(主燃焼を制御) Fig. 12に8C型の燃焼室と同燃焼室に追加工でT側を拡大した燃焼室における回転数と排ガス温度の関係を示す。T側容積を拡大することでスキッシュの流速が低下し,主燃焼で混合気を燃やしきれず,後燃えにより排ガス温度が上がる。Fig. 12 Exhaust Gas Temp. at Di■erent T End Positionb. キャビティ・後期重心で燃焼させ,空気と燃料の混合時間を確保し未燃燃料を低減,ローターへの火炎接触も抑制(冷却損失の低減)・Cooled EGRのような不活性ガスを含んだ混合気は,反応速度の低下により火炎伝ぱが不安定になるため,Fig. 13 Turbulence by Cavityc. L側の燃焼室容積の確保と容積変化の抑制・ L側のプラグ1本で燃焼させるため容積をL側に集約・回転方向の燃焼室容積変化の抑制により燃焼初期の流動を抑制することで,燃焼室容積の小さい燃焼初期での燃焼を緩慢にし,壁面への熱伝達を減少d. リセスL端位置の延長・EGR導入により進角する点火時期において,プラグホール下に容積を設けプラグホール内を掃気 Fig. 14は13B型と8C型の熱発生率を比較したもので,図中の英字は前述の形状と紐づけるものである。ロータリーエンジンは構造上,燃焼期間中にT側は圧縮され,L側は膨張する。従い,燃焼期間中のL側はS/V比(燃焼室表面積/容積)は減少傾向にあり,冷却損失に有利な空間となる。8C型ではL側主体に1点点火による1段の急速燃焼を実現したことで約40%の冷却損失を改善した。また,等容度や排気損失の改善により熱効率を向上させるとともに,排ガス温度も低減した。77005500330011000033006600EEcccceennttrriicc AAnnggllee[[ddeegg..aaTTDDCC]]℃℃ 燃焼室内に乱流を発生させ燃焼速度を向上し,火炎伝ぱを安定化 Fig. 13に2300rpm高負荷域の燃焼室内流動の解析結果を示す。キャビティにより乱流を発生させ放射状に火炎伝ぱさせ,未燃燃料が低減する。

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