マツダ技報2023
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(3)CooledーEGRシステム Fig. 24 にEGRシステムを示す。ロータリーエンジンの理想燃焼へ近づけるため高圧縮比化しているがノッキングが発生しやすくなる。ノッキング抑制手段として,排気ガスを吸気へ再循環するCooled EGRシステムを採用した。 Cooled EGRを導入することで,比熱比の向上,冷却損失の低減,ポンプロスの低減により燃費改善効果が得られる。 8C型エンジンは基本諸元の最適化と構造系進化により,RE基盤技術の底上げを図った。マツダ初のマルチ電動化技術のエンジン開発となったが,レシプロエンジンの構成技術も活用し,コンパクトなロータリーエンジンの特長を活かしたパワートレインを量産化できた。手の内化した技術を今後の開発にも順次適用し,マルチソリューションによる環境貢献につなげていく。(1) 小田ほか:溶射技術によるアルミニウム合金鋳物の耐摩耗性向上,マツダ技報,No.29,pp.110-114(2011)(2) 谷田ほか:エンジン摺動部材の低摩擦表面処理の開発,マツダ技報,No.27,pp.148-152(2009)―64―Fig. 21 DI Pump Drive SystemFig. 22 Oil CircuitFig. 23 Mechanical Friction @2500rpm Oil Temp.95℃Oil Cooler Main Metal Oil Pump Fuel Pump Fuel Pump Cam Gear and Chain Sprocket Eccentric Shaft Oil Filter Metering Oil Pump OCV Fig. 24 EGR System4. おわりにEGR  一般にレシプロエンジンで使用される燃料ポンプシステムをロータリーエンジンで駆動するため,燃料ポンプカムハウジングをリアハウジングに搭載した。エキセントリックシャフト後端にドライブスプロケットを追加し,チェーン駆動するシステムとした。(2)可変油圧制御 Fig. 22 に油圧システム回路を示す。シリーズハイブリッド化により高負荷領域を主としたエンジン運転条件となっている。ローター冷却性の強化(クーリングオイルジェット流量増大)と水冷オイルクーラーでの放熱量強化のため,従来より多くの供給流量が必要となった。高負荷領域で増加する要求流量は確保し,実用低速領域における燃費を向上させるため,OCV(Oil Control Valve)を用いた可変油圧コントロールを行っている。OCV採用により低回転域の機械抵抗を14%低減した(Fig. 23)。参考文献

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