マツダ技報2023
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―67―rotoMrotoMengnErotareneGiiyratoRmetsyS nartrewoP)1(noitarugifnoC metsyS lortnoC)2(On BordChargerOn BordCharger2. e-SKYACTIV REVシステムの概要2.1 KV#1&2を実現するためのシステム設計(1)ハイブリッドシステム 室内空間を犠牲にせず,搭載性に優れる8C型REを採用した。また,高回転・高負荷領域の効率が良いロータリーエンジンの特性を活かすために,駆動系と機械的に切り離すことで車速に関係なくエンジンの運転領域を選択可能なシリーズハイブリッド方式とした。 また,普段はEVとして使用可能な107km※1の航続距離を確保するため,バッテリー容量を17.8kWh※2とした。(2)駆動システム EV MODELで好評を得たエレクトリックGベクタリング コントロール プラス(e-GVC Plus)やモーターペダル(2)等の各種機能を継承するため,Fig. 2(1)で示すようにe-SKYACTIV REVはEV MODELと同様のモーター駆動システムを採用した。※1ᅠ国内WLTCモードでの国土交通省審査値※2ᅠ自社調べ2.2 制御システム 前述のように,e-SKYACTIV REVの発電システムは駆動力システムと機械的に切り離されているため,Fig. 2(2)に示すように8C型REのエンジン制御(ECM Engine Control Module)と発電機制御(SGCM Starter Generator Control Module)を追加し,駆動システムとは完全に独立した構成とした。その結果,パワートレイン全体を統合制御するPCM (Power Control Module) は,高電圧バッテリーと燃料の2つのエネルギー源を走行シーンに応じて使い分けるエネルギーマネジメント制御と,ECMとSGCMに対するトルク・回転数指示制御をEV MODELに追加する構成で実現した。3.1 ドライバーの使用用途に対応する選択式の3つ プラグインハイブリッド車は,一般的にバッテリーに貯めた電力によりBEVとして使用し,SOC低下後は発電・停止を繰り返しながら走行する。MX30 Rotary-EVは,KVを実現させるため,ドライバーの使用用途に対応できるように以下に示す3つのドライブモードを設定し,8C型REの発電動作を緻密に切り替える制御を織り込んだ。(1)ノーマルモード 8C型REを積極的に起動させることで,駆動電力を補いやすくし,EV MODELと変わらない「人馬一体」の走りを継続する。(2)EVモード 8C型REの起動を抑え,極力バッテリーからの電力のみを使用して走行することで,「EVとして使う」ことを主体に環境に配慮した使い方を可能にする。(3)チャージモード ユーザーの設定したバッテリー充電量(State of Charge; 以下SOC)の目標値に向けて発電量をコントロールすることで,出先でのEV走行や給電を可能にし,アクティブなカーライフをサポートする。3.2 EVらしさを追求したハイブリッド制御 e-SKYACTIV REVシステムは,SOC低下後のハイブリッド走行中においても,EVらしく運転できる発電制御を織り込んだ。「EVらしさ」とは,発電時間を最小限にすることで,EV走行を広く行うことができることと定義した。 ハイブリッド走行中の発電時間を最小限にするためには,1度の発電量を大きく,かつ,発電時間を短くできればよい。8C型REは,高回転・高負荷での発電効率が良いため,EVらしさの実現に適している。一方で,発電出力が高いと発電時の音も大きくなるため,走行音と発電時の音が同調するように,車速の上昇にあわせて発電出力を増加させる制御とした。Fig. 3に,WLTCモード(欧州)での車速-発電出力のエネルギー頻度を示す。e-SKYACTIV REVは,車速が上昇するにつれて発電出力が増加する(青)ように,車速に応じた発電出力を設定している。 Fig. 4に,WLTCモード(欧州)の各車速における発電時間の割合を示す。e-SKYACTIV REVでは,高車速で高出力の発電を行うことで発電時間を短時間に抑えており,Fig. 4で示す競合車Aに比べると,e-SKYACTIV REVの発電時間はWLTCモード(欧州)全体で4割程度少ない。特に,低中車速となる市街地走行において,発電頻度を下げてEV走行領域を拡大している。以上の制御により,ハイブリッド走行時でもEVらしさをもつマツダ独自のハイブリッド制御を実現した。PCM: Powertrain Control ModuleDMCM: Drive Motor Control ModuleBECM: Battery Energy Control ModuleBCCM: Battery Charger Control ModuleECM: Engine Control ModuleSGCM: Starter Generator Control ModulePCMDMCMBECMBCCMHigh VoltageBattery(35.5kWh)EVFig. 2 Comparison of Powertrain SystemCapacity changee-SKYACTIV R-EVFuel TankPCMDMCMBECMBCCMEV/R-EVR-EV uniqueECMSGCMHigh VoltageBattery(17.8kWh)3. パワートレイン制御の概要のモード

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