マツダ技報2023
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川田 卓二 白石 卓也 (1) 上藤ほか:MX30 Rotary-EVの紹介,マツダ技報,(2) 森下ほか:MX30 EV MODELのモーターペダル開―69―AccelerationFig. 8 Engine Operating Line for Vehicle Speed and Acceleration for Each SOCFig. 7 Engine Operating Line for Vehicle Speed and  また,SOCが低下した際には,目標SOCへの追従性をもたせるために発電頻度を増やす必要がある。Fig. 8にSOCごとの発電開始閾値ラインを示す。e-SKYACTIV REVでは,SOCが下がってもFig. 8上での右肩下がりの特性を維持しながら発電開始加速度を低下させている。 SOC変化に対してエンジン始動ラインを滑らかに変化させることで,ドライバーがSOC残量などの車両状態を感じ取りやすくなり,どのSOCでも違和感のない納得感のあるエンジン始動制御を実現した。4. まとめ添田 征洋 光永 誠介 また,ドライバーはハイブリッド車の発電タイミングについて,低車速ではあまりエンジン始動せず,高車速ではすぐにエンジンが始動するようなイメージを持っていると考えた。発電のわずらわしさを感じづらくするために発電開始・停止のタイミングがドライバーの予想と合うような制御を設計した。EVらしさとドライバー予測との一致性の両面から検討したe-SKYACTIV REVシステムの発電開始閾値ラインをFig. 7に示す。図中のラインは,各車速における発電を開始する加速度を示している。 低車速の領域では,市街地の一般的なGOSTOP時の加速度をカバーできる3m/s2以上の加速でもEV走行を維持できるように設計し,EV領域の広さを実感しやすくした。中車速域は,高速道路への合流など,パワーの必要な加速シーンではエンジンを始動させ,エンジン回転コントロールも合わせて力強い加速感を演出した。高車速領域では,高出力が必要なシーンが多いことに加え,前述の3.2節で決めた発電出力から車速が高い時は高出力での発電ができるため,積極的にエンジンを始動させて必要なパワーを瞬時に出せるような設計にした。 発電停止タイミングは,アクセル開度や減速加速度から,ドライバーが明確な意図で行う操作に合わせて停止するよう設計した。 マツダの「飽くなき挑戦」の象徴であったロータリーエンジンは2012年に一度量産を終了したが,その役割を変えて発電機用のエンジンとして復活した。今後も環境性能を向上させて,この技術を絶やすことなく魅力的な商品開発を続けていく。■著 者■参考文献No.40,pp.47-51(2023)発,マツダ技報,No.38,pp.20-25(2021)枝廣 育実

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