3.0± (2)金型寸法精度維持管理 鋳砂の吹き込みや型合わせで摩耗が進む金型の寸法精度維持のため,従来は安価な鋳物のFC250材だった金型材質を変更した。表面硬度が高くより耐摩耗性が良い熱間工具鋼の中でも被削性がよく,切削で仕上げ加工でき,トータルコストに優れるSKD61材を選定し40%の耐摩耗性向上を実現した。 また,金型を定期的に3Dスキャンし,摩耗量0.2mm以内で整備することとした。更に,アンバランス量そのものも,製造ロットごとに中子を3DスキャンしCAEで予測することで管理と定点観測することとした。このように金型構造の精度向上と,CAEを活用した金型維持管理をすることで,No.1中子の出来栄えをタイムリーに,そしてこと細かに維持管理できるシステムを構築 した。6.3 対策②No.1,2接着中子厚さ/主型へのセット No.1,2中子は接着剤を塗布し圧力をかけて接着する。上下の金型の合わせ不足や圧力不足があると厚くなるた―81―mmFig. 9 Metallic Pattern Structure of No.1 CoreFig. 10 Measuring Assembly Dimension for No.1, 2 6.4 対策③注湯時の中子変形 注湯すると,中子は溶湯からの熱で膨張しつつ浮力が働き,凝固過程では素材の収縮にさらされて変形する。13B型ローターはNo.1,2中子の合わせが平面で,接着剤の接着力だけで変形に抗うため剛性が低く,素材CTスキャンの結果からも変形が認められていた。対策として8C型では噛み合わせ構造として剛性を向上させた(Fig. 12)。Fig. 12 Improvement of Assembly Structure6.5 対策④加工の基準ずれ 加工面の径方向寸法は,加工基準3点を固定して中心軸を算出し,それを基準としている。固定治具に鋳バリCoreFig. 11 Core Setting JigPrevious model (13B type) New model (8C type) Green: metallic pattern of recess Previous model (13B type) New model (8C type) せ前の位相精度に限界があり,それらが摩耗しやすい。また,回転式のため金型上に駆動源を搭載できず,側面型はリンク機構を用いて外力で抜き方向に動かした後に花びらが開くように倒して開閉していた。そのため0.4mmのクリアランスをもたせており,凹み形状の位置合わせ精度も±0.2mmのばらつきをもっていた。8C型ローターでは側面型も大型化しており,同様の機構を用いると開閉の際に中子と干渉する。その上,加熱機構を側面型内に設けられないため,13B型では上下型からの熱伝達でヒートアップさせていたが,大型化され熱容量の増えた8C型では必要な断面積が確保できず十分に加熱されない。そこでNo.1中子型には,回転機構を排したシンプルな造型機を導入し,エアーシリンダーにより側面型を押し当てて位置決めするスライド方式とすることでゼロクリアランス化を実現し,精度を向上させるとともに加熱機構も内蔵した(Fig. 9)。上下型は,位置決めピンとブッシュの摩耗量0.1mmをそれぞれ交換基準とし,型ずれを±0.2mmで管理することと した。精度め,13B型では接着圧力を管理していた。一方,解析により厚さばらつきがアンバランスに影響を与えることが明らかになったため,8C型では高さ寸法そのものを管理することとし,接着装置に設置したレーザー変位計で全数検査し,±0.3mmで管理することとした(Fig. 10)。 主型と中子のクリアランスは0.2mmに設定しているが,人の手で作業するため,セットの際に鋳型同士が接触し破損する懸念があった。作業者の習熟度に依存せず正確に作業できるよう,防止策としてFig. 11に示す樹脂製のガイド治具を製作し,鋳型同士の干渉を防止し た。
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