マツダ技報2023
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(1) 谷田ほか:エンジン摺動部材の低摩擦表面処理の開発,マツダ技報,No.27,pp.148-152(2009)―88―Fig. 17 Analysis ResultFig. 18 2D BarcodeFig. 19 Control Panel Log DataFig. 20 Film Thickness Measurement ResultsFig. 21 Number of Oil Retention Groove4. 効果5. おわりに 膜厚を指標に比較した結果,専用設計した電極を使った場合,シミュレーション解析で求められた状態と合致していることが確認でき,1枚のワークの中での膜厚差を従来の1/3に低減した。3.5 品質保証システムの進化 本活動にて,めっき皮膜品質と制御因子である製造条件の関係が明確になってきた。また実際に量産導入していく中で製造時の管理項目を追加し,品質結果も統計的に品質保証できることが分かった。更に,ワークに二次元バーコード(Fig. 18)を打刻し,ワーク1枚1枚と,めっき処理条件(Fig. 19)及びめっき品質確認結果(Fig. 20,21)をデータベースに登録,確認できるシステムを整備した。量産ワーク全数の製造条件と品質結果をデーターとして残し,一元管理することで,全てのワークを品質保証するようシステムを進化させた。 高速クロムモリブデンめっき工法の採用により,めっき時間を6.5hから3.0hと短縮し,かつ内面研削後の逆電処理工程を廃止した。この結果,年間61000kg-CO2の削減を実現した。また,めっき皮膜の低摩耗化により,摺動部で接触するアペックスシールの摩耗性もねらいどおりに低減できていることが確認できた。 本ユニットは開発,素材,加工,めっき,組立など多くの関連部門の連携と協力によって商品化を実現することができた。この関係性を継続しながら今後もお客様の期待を上回り,喜んでいただけるような魅力ある商品開発に尽力していく所存である。最後に,高速クロムモリブデンめっきの開発・生産にご協力いただいた全ての関係者の皆様に感謝の意を表します。参考文献

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