マツダ技報2023
98/203

―90―Key words:Vibration, Noise, Ride comfort, Exhaust system, CAE, Simulation, Exhaust noiseIn recent years, from the perspective of the coexistence between society and cars, regulations on vehicle exterior noise have been tightened. Vehicles with internal combustion engines are required to reduce engine noise. Among engine noises, exhaust noise is an important factor for customers to perceive the value of the vehicle, such as quietness and sound, in addition to external noise regulations. Under these circumstances, we have been working on the development of prediction technology for exhaust noise in order to improve development e■ciency. To achieve both regulation compliance and sound evolution, it is necessary to control the exhaust noise more closely than before, which requires higher prediction accuracy than before. Therefore, we improved the prediction accuracy of the airflow and pulsation noises contained in the exhaust noise by newly developing analysis technology for measurement results and improving CFD and acoustic analysis models. This report explains the e■orts on our achievement.MBD Innovation Dept.Kyoji IshiharaAkira SumitaniToru TsurumotoNaoki NakamuraHIROTEC CorporationToshiyuki HirobeTakahiro ShinkawaOsamu Torobu1. はじめにDevelopment of Prediction Technology for Exhaust Noise論文・解説16要 約 近年,社会とクルマの共存の観点から,車外騒音規制の強化が進められており,内燃機関搭載車は,エンジン音の低減が求められている。特に,エンジン音の中でも排気吐出音は,この車外騒音規制に加えて,お客様が静粛性やサウンドといった車の価値を感じ取るための重要な要素の一つとなっている。こうした中,これまで開発効率化のために排気吐出音の予測技術開発に取り組んできたが,厳しい規制対応とサウンド進化を両立していくためには,これまでよりも綿密な排気吐出音のコントロールが必要であり,それには従来よりも高い予測精度が求められる。そこで,排気吐出音を構成する気流音と脈動音に対して,新たに計測結果の分析技術の構築や,CFD (Computational Fluid Dynamics) や音響解析モデルの改良により,予測精度を大幅に向上させた。本稿では,その取り組みについて報告する。Abstract 大きな転換期にある自動車産業においては,デジタル技術の進化や新たなプレーヤーの参入で,多種多様な商品が導入されている。そして,IoTによりつながることでさまざまな機能やサービスが提供されるようになり,自動車が社会に提供できる価値も今後変化し拡大していくことが予想される。 その中で,マツダは,走る歓びというブランドエッセンスを磨き,進化させ続けており,ブランド価値経営を貫き,マツダらしい独自価値をお客様に提供することを*1~5  MBD革新部 目指している。特に,本稿で述べる排気吐出音が関係する内燃機関搭載車は,今後も進化を続けていく上で,エンジン音の静粛性やエンジンサウンドといった独自価値の向上と,社会と自動車の共存の観点から,自動車交通騒音低減のための車外騒音規制との両立が必須となる。 こうした中,マツダでは効率的な開発の実現のためにモデルベース開発(MBD Model Based Development)によるプロセス革新を進めており,これまで排気吐出音の予測技術開発に取り組んできた。しかし,今後強化される騒音規制への対応と排気サウンドの両立には,これまでよりも綿密な排気吐出音のコントロールが必要で,*6,7  (株)ヒロテック 排気吐出音の予測技術開発石原 教示*1鶴本 徹*2廣部 敏之*3土路生 修*4住谷 章*5中村 直樹*6新川 貴大*7

元のページ  ../index.html#98

このブックを見る