マツダ技報2025
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)。しかし,一般)。バイオ燃料は大気中の(験も進めている(ざまな機関で研究開発が行われている),2. 微細藻類バイオ燃料の課題3. Microalgae Biofuel Production Cost Prediction Results2017月に微細藻類バイオ燃料の研広島大学(以下広島大学)大藻類エネルギー創成研究室」を開設Organization Chart of Microalgae Biofuel Research排出量の低減に貢献する。マツダは上記試験結Fig. 1を材料 近年,生物工学の分野では,情報科学的及び合成生物学的アプローチを組み合わせ,物質生産性を高めた細胞(スマートセル)を効率良く生み出す取り組みが登場した。マツダでも究拠点として国立大学法人学院統合生命科学研究科内に共同研究講座「次世代自動車技術共同研究講座した。目的は油脂生産効率の革新であり,研究体制で取り組んでいる。Fig. 2Fig. 1 まず,東京科学大学及び(株)ファイトリピッド・テクノロジーズ太田チームが植物脂質代謝メカニズムからの知見に基づき藻類遺伝子改変戦略を構築する。次に,広とし島大学山本チームが藻類遺伝子改変戦略を実現するゲノム編集ツールを構築し,油脂蓄積能力を飛躍的に向上しながらも遺伝子組換えに該当しない新規高性能藻類を作1ha成する。次に,広島大学坂本チームが植物環境応答メカニズムから高性能株のポテンシャルを最大限引き出す培養条件制御戦略を構築する。更に,埼玉大学西山チームは光合成メカニズムから,藻類遺伝子改変戦略及び培養条件制御戦略の構築を行う。また,広島大学中井チームがマツダ工場内から排出される排水を栄養塩として培養に用いる技術を構築し,微細藻類バイオ燃料の製造コスCO2ト・果を統合し,モデルベース開発技術を活用した研究全体の推進を担っている。106油脂生産効率向上に向けた研究)(1243年は][のが[――マツダ技報No.41(2025)    る。加えて,自動車の使われ方はさまざまであり,航続距離,充電時間など,なる課題が存在する。 そこでマツダは,内燃機関や電動化技術などパワーユニットの展開を適材適所で行う「マルチソリューション戦略」を掲げ,本質的なる。その中で内燃機関と組み合わせて用いるバイオ液体燃料は,実現性の高い重要なソリューションの一つと考えており,バイオ燃料の使用について内燃機関の検証試として成長した植物のバイオマスから生産しているため,CO2発生するCNの収支はゼロとみなすことができるため,化に向けた新たな再生可能エネルギーとして,さま的に植物が太陽エネルギーを用いてバイオマスを生産する効率は低いことから,自動車用燃料のような需要量の大きなものを生産しようとする場合,広大な土地が必要になるため,森林破壊の懸念や,原料が穀物の場合には食糧利用と競合する懸念が生じる。その中で微細藻類が生成する油脂を原料とするバイオ燃料(以下微細藻類バ10イオ燃料)は単位面積あたりの生産性がパームヤシの4(倍以上,トウモロコシの数十倍と効率が優れる上に元々,食料利用されていないことから食糧との競合が起きないため,数あるバイオ燃料の中でも有力な候補の一つである。本稿は筆者らが産学連携で取り組んできた微細藻類バイオ燃料の実用化に向けた取り組みについて紹介する。 大きなポテンシャルをもつ微細藻類バイオ燃料だが,製造コストが普及に向けた課題となっている。マツダが構築したコストモデルを用いて,油脂生産効率と培養スケールを変化させ製造量と製造コストを試算した結果である。レースウェイ型培養器を用いた屋外培養における一般的な油脂生産効率を1haの培養規模で藻類バイオ燃料生産を行った場合,市Fig. 場導入には大幅なコスト削減が必要である。例えば10.027 の油脂生産効率を点から燃料製造コスト半減を目指す場合,油脂生産効率0.027 [g/L/day]の前提ではであるのに対し,油脂生産効率をそのL/day1ha]とすれば,がわかる。この結果から油脂生産効率の向上が微細藻類バイオ燃料普及への近道であると考えた。には内燃機関搭載車と特性が異EV削減の取り組みを進めていCO2CO20.027 [g/L/dayg/L/day],培養面積10haの培養面積が必要g/50.135 倍のの培養面積で達成可能であることに示すFig. 2

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