マツダ技報2025
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%574896――マツダ技報No.41(2025)   )。広島大学山本チームはPlatinum (子改変技術構築が重要となる)。(持しながら油脂を高蓄積することが分かっている),水資源の問題が生じない(以上蓄積できる能力をもち)。(する機能を加えることに成功した3.1 藻類遺伝子改変戦略の導出 マツダは,燃料製造のベース藻体としてナンノクロロNIES-2145プシス(株)を用いた。ナンノクロロプシスは微細藻類の中でも油脂を藻体乾燥重量当たり最大海水で高密度に培養することが可能である。また,前述した油脂蓄積能力に加えて軽油主成分となる素を豊富に含む特性をもっていることも製造コスト削減Fig. 3に資すると考えられる。脂肪酸の組成を比較した結果である。微細藻類は種類にC12よって炭素鎖長がな脂肪酸を生産できることが特徴の一つであるが,ナンノクロロプシスでは軽油製造に適した炭素鎖長肪酸を多分に含む。また,同時に含んでおり,これはエイコサペンタエン酸(以下の高度不飽和脂肪酸(以下EPAとを示している。康食品として販売されるだけでなく,高純度の物は中性脂肪値改善のための医薬品として利用されている。しかし,現状は魚油から精製されるため安定的な原料供給について課題をもっている。ナンノクロロプシスが生産するこれらの成分を余すことなく利活用することで,燃料製造だけではなく,の安定的原料供給を実現することで医PUFA療や健康分野への貢献が期待できる。Fig. 3Fatty Acid Composition of Nannochloropsis 遺伝子改変戦略について,油脂合成機能の強化,油脂分解機能の抑制,油脂蓄積調節因子の改変,光合成機能の強化のつの方向から進めている。そのうち,油脂蓄積調節因子の改変株について紹介する。 多くの微細藻類は窒素が培養液から欠乏した時に油脂を蓄積し始める特性をもち,この特性は産業的油脂生産のトリガーとして広く用いられているが,一方で藻類の増殖が著しく阻害されるという課題があった。この課題に対し,ナンノクロロプシスでは窒素と同じく培養液に含まれる無機栄養塩であるリンの欠乏条件において,藻類の増殖を維 そこでリン欠乏条件を油脂蓄積のトリガーとして用いることとし,更に,遺伝子改変によりリン欠乏トリガーに対する油脂蓄積応答を強化することによる油脂生産性SPX2遺伝子の破壊がリン欠乏応答反応を強化15年法律第Fig. 5Genome Editing Tools for NannochloropsisFig. 4)。この97号,以下「カルに示すとおり,このC16は同藻体内にて蓄積したC22からのものまで,さまざまの脂肪酸を多分に20:5PUFA)を多量に生産できるこはさまざまな生理活性をもち,健)(向上を試みた。ナンノクロロプシスのリン欠乏条件培養下における遺伝子発現解析と,そこから導出した候補遺伝子に対する相同組換えによる遺伝子破壊株の構築と培養評50価により,し,油脂蓄積量が増加することを確認した(SPX2遺伝子は遺伝子破壊によってナンノクロロプシス細炭化水胞内リン蓄積量(ポリリン酸量)の減少が確認されており,細胞内のリンが減少することにより培養液のリン欠乏に対する応答が強化されている可能性が示唆されている。の脂C16EPA)等Fig. 4Increased Lipid Accumulation by SPX2 Knockout3.2 ゲノム編集による高性能藻類株の構築 バイオ燃料生産を目的とした微細藻類の遺伝子改変では,ゲノムの狙った場所に正確かつ高効率にデザインした変異を起こすことができるだけではなく,屋外大規模培養に使用できる技術であることが求められる。そのためには,生物の多様性の確保を目的として制定された,遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性確保に関する法律(平成タヘナ法」)における遺伝子組換え生物に該当しない遺伝正確かつ高効率なゲノム編集ツールであるTALEN技術を保有しており,技術をナンノクロロプシス用にデザインし,複数の遺伝子改変を行った後に細胞内からゲノム編集ツールを除去Fig. 5107

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