4の(1番3(て――マツダ技報No.41(2025) 2. ピストン打音のメカニズム解明O/Jによってオイルが供給されると,ピストに実験に用いたエンジン諸元を示す。検3.3L気筒ディーゼルエンジンを用い,無負荷状回転で実験を行った。Engine Specifications and Experimental ConditionsIn-Line 6 Diesel Engine3283cm315.2Steel550Nm/1500-2400187kW/3750rpm750rpmに同一時刻,同一気筒内で計測した筒内圧力波Main ,及びメインベアリングキャップ(CBWMBC,以下)の振動波形を示す。番気筒のスラスト側壁面に,によるオイルの供給がない場合O/J),オイルの供給がある場合(の振動レベルが高くなっていることがわかる。まTDC後であり,燃焼荷重が負荷さTransfer Path of Piston Slap NoiseCBW,以下)を振動させるこ機種のエンジンで)によりオイルが供給され不快な音の要因となる。マルチソリューションのパワーソースを提供しつつ,理想とする内燃機関の実現のためにも一層の開発効率化と,より効果的なピストン打音予測手法を構築する必要がある。本稿ではピストン打音とエンジン背景音との関係より飛び出し量を定義し,聴感評価と相関があることを確認した。これにより,ピストン打音を効果的に検出する技術を構築したので報告する。2.1 ピストン打音とは ピストン打音はスラップ音とも呼ばれ,ピストンがシリンダーライナーに衝突することで生じる振動がシリンダーブロック内を伝達し,シリンダーブロック壁Cylinder Block Wall面(とで発生する。そのため,衝突時のピストンの運動エネCBWルギーや振動と,ピストン打音に一定の相関があることが知られている。一方で,エンジン排気量が異なれば機械騒音によるエンジン背景音(暗振動)も異なるため,異音として認知されるピストン打音の聴感も異なは互いに排気量が異なるFig. 1る。CBW加速度振動と聴感評価の相関を示している。ハッチングされた部分は,聴感評価で基準を満たさなかったものを示している。加速度振動が低い場合でも聴感評価基準を満たさない場合があり,逆に加速度振動が高い場合でも聴感評価基準を満たす場合がある。このようにCBW振動だけではピストン打音を管理することはできない。そのため聴感評価と相関のある指標が必要となる。それに先立ち本章では,ピストン打音のメカニズムを検証した。Does not meet the auditory criteria Fig. 1Correlation between CBW Acceleration and Auditory Evaluation2.2 実験検証 マツダでは特にエンジン背景音が小さい低回転・軽負荷条件において,お客様にとって打音が不快な音として認識されるため,これを考慮して開発管理を行っている。また,ピストンには温度管理のために冷却用オイルO/Jジェットノズル(以下,る。通常,ンとシリンダーライナー間にオイルが介在し,ピストンがシリンダーライナー壁に衝突する際に減衰効果として働き,打音を低減する。そこで,実験ではイル供給有無を切り替えることによって,ピストン打音の有無を聴感評価により確認し,メカニズムの検証を Table 1行った。6証には750態のTable 1Engine TypeDisplacementcompression ratioPiston materialMax.Torque/rpmMax.Power/rpmEngine Speed)ピストン打音伝達経路Fig. 2CBW形,Bearing Capの計測は軸受のフロント側上面にそれぞれ加速度センサーを取り付けて計測した。w/o O/JCBWた振動のピークは燃焼れるとともに,ピストンがスラスト側に移動した後に振動していることを示唆している。Cylinder pressure CBW Vibration MBC Vibration Fig. 2141によるオO/J振動3振動はMBCw/ O/J)に比べ
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