マツダ技報2025
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1234-1()2()()(),,森――マツダ技報No.41(2025)        5. おわりに参考文献SKYACTIV-D 3.3を示す。ピーク周波数や,ピークレベルが若干予測の方が低めになる傾向があるが,定性的には実験と同様の傾向を確認することができた。また,回転数ごとの飛び出し量を比較した結果を12Bark 13Bark 28[dB] Fig. 13Simulation Results for Piston Input Vibration and Masking VibrationFig. 14Simulation Exceedance Value4.3 開発エンジンへの適応検証 異なるエンジンでも本手法の妥当性を検証した。検証2.5L 4には気筒ガソリンエンジンを用いた。エンジン回850rpm転数をとし飛び出し量を算出した。その結果を前節までの結果と併せて対値には差異があるものの定性的な傾向をとらえることを確認できた。これにより,実測及び予測モデルの両方で,ピストン打音を異音として検出可能な飛び出し量の閾値を設定することができた。 今回設定した飛び出し量の閾値を新規開発エンジンに適応し,予測モデルによる事前検討から飛び出し量が閾値より低いことを確認した。その結果,実機計測においてもピストン打音が発生しないことを確認できた。Measurement threshold Fig. 15Verification Results for Exceedance Valueに示す。Fig. 1414Bark 21[dB] Fig. 15に示す。飛び出し量の絶Simulation  本稿ではピストン打音の効果的な検出方法の確立を目的として,ピストン打音のメカニズムを解明し,シリンダーブロック壁面振動と暗振動から飛び出し量を定量化した。その成果と得られた知見を以下に示す。.ピストン打音はピストン因したシリンダーブロック壁面振動である。.ピストン,シリンダーライナーの温間変形,ピストン摺動部の表面性状を再現することで,精度の良いピストン挙動予測モデルを構築した。また,シリンダーブロック伝達特性予測モデルを構築した。.稼働部品の入力によるエンジン背景音を暗振動として定義し,燃焼に起因するピストン入力振動と区別することで,飛び出し量を同定することができた。.飛び出し量は聴感評価とよい相関を示し,予測モデルを用いたピストン打音予測の飛び出し量評価基準を策定した。これを新規開発エンジンに適応することでピストン打音予測を可能とした。 以上,ピストン打音評価技術について紹介した。電動化が進むなかにおいても,今後もマルチソリューションの提供を実現し,お客様に選び続けていただくために,内燃機関を進化させていく。岡澤ほか:No.39神田ほか:No.36■著 者■中西潤二郎山本145コンロッド連成振動に起pp.28-352022SKYACTIV-X NVHpp.38-432019恒寛彩斗松岡和洋の開発,マツダ技報,技術,マツダ技報,菊池正和野中康宏

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