Gantry Loader 1(%%%%(2(――マツダ技報No.41(2025) 3. 次世代フレキシブルラインの取り組みBoth Ends Face & Hole Machining Line On Line Off Final Measurement Final Washing Turning Oil Hole Drilling Washing Journal Polish Cam Grinding Journal Grinding Fig. 1Camshaft Machining Line2.2 エンジンシャフト部品加工ラインの目指す姿と課題)生産する部品変化への柔軟な対応 当社では,従来から「モノ造り革新」の考えに基づき,生産する部品ごとに最適化した変種変量高効率ラインを構築している。上述ラインで加工する部品については,商品力を確保するため,エンジン機能に関する形状などを変動要素とし,ラインとしては生産で必要な加工&搬送基準を固定要素として共通化することで混流生産を実現している。具体的な変動要素として,エンジンのボアピッチや吸排気タイミングを担うカム形状などは設計自由度を持たせ,一方で部品の機能に影響がないセンター穴形状や回転方向の基準面は固定要素としている。 しかし,今後バッテリーBEV見込まれ,用部品の生産比率の変化に柔軟に対応し競争力を確保していくためには,これまでの部品ごとのフレキシブルラインから,異なる部品の混流が可能な「次世代フレキシブル加工ライン」へ進化させる必要がある。 全く異なる部品を混流する場合,これまで構築してきた「固定と変動」の枠組みでは対応しきれないため,さまざまなバリエーションに対応できる汎用性の高い設備の導入を進める必要性があるが,加工部位によっては量産性に優れる専用機に頼っている。今後は,品質と生産効率を維持しかつ,柔軟に対応することが課題である。2)生産計画変動への対応 従来の加工ラインは,生産計画に応じた設備を直列に配置し,その頭上をガントリーローダーが跨ぐように設置されている。よって,当初の生産計画以上の要求に対応する場合は,設備を追加するための生産休止を伴う工事もしくは,ライン新設が必要となる。市場の需要が不透明な中,柔軟に対応するためには,生産計画に応じて段階的に能力増強可能なライン形態としていく必要がある。 したがって,能力増強に対して生産を休止させず,能力が不足する工程のみアドオンによる増強が可能な生産ラインを構築することが課題である。3)加工ラインの省人化 これまで部品の加工や搬送など大部分の作業を自動化してきたが,素材のライン投入や完成品の梱包作業,ラFlexibilityBill of processComposition ratio of general-purpose equipment linesIn-line logistics workNumber of line workersHigh-skilled workOur visionLevel 3Level 4Process flexibilityProcess flexibility10 process8 process4 process901001000.5 peopleno oneno one1.5 people1 person no oneFY2020FY2024FY2030Level 1Level 2Process fixationProcess flexibilityMachining process count12 process621 person2 peoplePT加工ラインの目)。にあたり,Table 1Table 1Roadmap for Our Vision)のレベルEVBEV(以下,)への移行もイン内物流といった「単純作業」,部品の測定といった「認知/判断作業」,刃具交換に代表される「高度スキル作業」,設備の起動・停止,保守点検といった「維持/管理作業」などでは,多くの人作業が残されている。これらは,多様な部品形状やサイズに応じて,オペレーターによる認知/判断/調整が必要な作業であり,部品測定や刃具交換など,微細な違いを視覚や触覚で感じ取る必要がある。これらの感覚的判断を機械に任せるのは非常に困難であり,技術的な難易度が高いことが課題である。3.1 ロードマップの策定2.2節で述べた課題解決にあたり,指す姿の実現に向けたロードマップを描き,必要な要素技術の開発を進めてきた( 今回の取り組みのポイントは,これまでの【部品ごとに最適な工程・工法で構成する考え】から,【加工対象部品全体最適視点で加工ラインを構成する考え】に変革したことである。 目指す姿は,これまで部品ごとに固定されていた工程を独立させ,部品の種類に応じて必要な工程を選択しつつ,既存資産を最大限活用することで異部品混流を可能とする。また,バリエーションに対応する変動要素は極小化し,加工設備は全て汎用機とすることで,異なる部品への迅速な対応を可能とする。工程は最小限に集約し効率化を図る。省人化の観点では,「単純作業」「認知/判断作業」「高度スキル作業」「維持管理作業」全てのオペレーター作業を自動化し,無人化した状態である。 本稿で紹介する次世代フレキシブル加工ラインでの取Table 1り組みはロードマップ(工程独立のため各加工設備のモジュール化,工程集約,加工機の変動要素の極小化,設備の汎用機化率向上に取り組んだ。省人化については「単純作業」,「認知/判断4作業」,「高度スキル作業」を対象に取り組んだので,章で紹介する。147
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