3.2 前提条件 この次世代フレキシブル加工ラインでは,加工対象部品を従来のエンジンシャフト部品に留まらず,将来のBEV用部品に対しても対応することを目標に取り組んだ。この検討にあたっては,加工対象部品をエンジンのクランクシャフト,カムシャフトに加えて,長さが同等であるモーターシャフト,カウンターシャフトとした。3.3 フレキシブルモジュールライン 従来のエンジンシャフト部品加工ラインは,加工対象部品ごとにラインの構成やレイアウトを最適化した専用設計であるため,部品搬送速度が速く,ライン全体の占有面積をコンパクトにできるという特長がある。 一方,異部品混流への対応や生産能力増強への対応は,生産ラインを休止させて設備の大掛かりな移設・追加工事を行うかライン新設が必要となり,多くの期間と費用を要する。 そこで,この次世代フレキシブル加工ラインでは,設備と部品脱着ロボットを組み合わせてセルモジュール化し,無軌道(無人搬送機)によってモジュール間のAGV部品搬送を行う構成とした(Fig. 2The Concept of Conventional Line (Above) and Flexible Module Line (Below)つのモジュールは,ロボットよる構成を基本としており,または工程を担当する(を構成する最小単位となり,加工する部品の工程や生産台数に応じてモジュール構成を決定する。リーローダーに比べて搬送経路を変更しやすく,モジュールの配置自由度が高い。6-axis Robot Tool Storage Temporary Workpiece Stand Robot Hand Storage Cleaning Workpiece AGV Parking Area for Supplying Workpiece Gantry Loader Dedicated Machine(1) Lathe(1) Machining center(2) Machining center(1) Machining Center Area Lathe Area Add-on Robot Dedicated Machine(2) Lathe(2) Grinder Grinder Area Dedicated Machine Area Machine Workpiece Route Fig. 3Layout of ModuleAGV搬送化により,新規部品経路を変更するだけで工程順AGVCrank Pin O.D. Reference Plane Center Datum Plane Crankshaft Reference PlaneFig. 4BEV用部品はエンジンとは異なる機能に応じNC旋盤での取り組みを紹介する。)。Fig. 2台と工程設備つのモジュールでFig. 3)。モジュールがラインAGV 工程のモジュール化との生産が必要になった場合,新工程をモジュール単位でアドオンできるほか,序も変更できる。また,該当設備とル単位で追加することで比較的容易に能力増強も可能となる。各モジュールが独立しているため,モジュール追加工事に伴う生産への影響も少なく,柔軟かつ段階的に能力増強を行える。AGVで部品を搬送するための搬送台車も,腰下部分は部品種類に関係なく共有とし,部品を搭載する腰上部分のパレット交換のみで新規部品にも対応できる構造とした。3.4 変動要素の極小化 従来は,排気量によって異なる全長や形状などの複数のエンジン機種を同一ラインでフレキシブルに生産するため,加工基準形状を統一してきた。具体的には,加工時に支持する部品両端部のセンター穴形状,把持する外径,回転方向の基準などの加工基準を固定要素とすることでフレキシブル生産を可能としている(Rotation Reference Plane 台に121121――マツダ技報No.41(2025) 工程はガント しかし,た形状となるため,従来のような加工基準を固定要素としてエンジン部品と共通化することは困難である。この問題に対して,治具の先端部分の交換のみで機種ごとのユニーク形状へ対応するなど,専用部分を極小化することで柔軟な対応を可能とした。 具体的な事例として148経路をモジューAGV)。Fig. 4
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