)6((――マツダ技報No.41(2025) (合の平面運動に影響を与えるという研究結果3. Asymmetric LSDDrive側)とに差動Fig. 3)にkgFig. 2に示すように,サイドギアとカム側)それぞれに対して異なる差動制限特CoastFig. 1Structure of Asymmetric LSDComponents of Asymmetric LSDDifferential Limiting Mechanism (Deceleration side)Table 1の車両諸元であるマニュアルトランAsymmetric Fig. 4Table 1Vehicle SpecificationsDimensionValueUnitVehicle mass1050Wheelbase2.310mFront tread1.495mRear tread1.505mHeight of C.G.0.482m ※開発車両の諸元値の開発コンセプトの構造と搭載車両動装置(以下,オープンデフ)を搭載した車両と比較してアンダーステア傾向が強い。一方,横加速度が大きく,旋回内輪の接地荷重が減少して駆動力がタイヤ摩擦円を超え,旋回内輪が空転する場合,旋回内輪に対して外輪側のトルクが増加することで促進方向のヨーモーメントが発生する。また,差動制限機構を搭載している車両では,路面外乱や横風入力など,車両に外乱が作用した場この観点も考慮して開発を進めていく必要がある。LSD 今回,著者らはする復元方向のヨーモーメントに着目し,新型の機械式ASYMMETRIC LIMITED SLIP DIFFERENTIAL LSDであるAsymmetric LSD)を開発した。本稿では,車両運動にLSD対するによる差動制限の効果と実車への適用例について検討した結果を報告する。2. Asymmetric LSD ロードスターをはじめとする後輪駆動車は,一般的に高速走行における急減速時に駆動輪の接地荷重が減少し,ヨー挙動が不安定になりやすい。 LSD そこで今回,の差動制限力によって発生するヨー復元モーメントに着目し,減速旋回シーンの安定性向上を含む,下記(ⅰ)~(ⅲ)のねらいを実現する差動制限特性を検討し,日常域から高速域まで旋回性と安定性を両立することをねらいとして,新型 (ⅰ)日常域の旋回性と安定性の向上 (ⅱ)高速走行における減速旋回時の安定性向上 (ⅲ)旋回内輪空転時の車両挙動のアクセルコントロール性向上 具体的には,(ⅰ)日常域で発生する制駆動力の範囲において影響が大きいプリロードによる差動制限力を小さくすることで,旋回性を妨げるヨー復元モーメントを低下し,旋回性を向上するとともに,路面からの外乱入力によるヨー方向の車両応答を低減し,結果的に安定性を向上する。また,(ⅱ)高速走行でコーナ進入時の減速度が大きく,駆動輪である後輪の接地荷重が減少し,車両挙動が不安定になるシーンで,減速側の差動制限力を大きく設定することで,ヨー復元モーメントによって車両挙動を安定化する。(ⅲ)旋回内輪空転が発生するシーンでは,エンジンが発生可能なトルクに適した差動制限力に設定することで,トラクション性能を維持するとともに,不要なヨー促進モーメントの発生を抑制することをねらいとした。3.1Asymmetric LSDFig. 1に今回開発した2を示す。章で述べた開発コンセプトを実現するため,先代のトルクセンシング式スーパーの差動制限力によって車両に発生LSDを開発した。の構造Asymmetric LSDのカットモデルLSDSuper LSDベースとして,リングにカム機構を設けることで,加速側(減速側(性を設定できる構造とした。また,サイドギアとカムリング間に皿バネを設けることで,サイドギア全周に安定したプリロードを付与できるようにした。制限時(減速側)のイメージ図を示す。差動時は入力トもあり,ルクに応じて,カムでスラスト力が発生し,カムリングとデフケースに固定されたテーパーリング間の摩擦によって差動を制限する機構である。Fig. 2Fig. 33.2 車両諸元 以下では,スミッションのロードスター(LSDを搭載して検証した結果について報告する。)を159
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