マツダ技報2025
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aeratsuR)→S,20)1程――マツダ技報No.41(2025)       (性能の両立には,スラグの無害化が必要である。既報E-coat3. 新型ハイアルゴン溶接WaterSlagEdgeSteelJust after coatingElectrodeposition coatingChemical coatingOxide filmSteelWelding beadRustCorrosion progressionElectrodepositioncoatingChemical coatingSteelE-coatWaterE-coatChem-coatSteelCorrosion incubationExposure time in a corrosive environmentHigh-Argon Welding Process: は,シールドガス中の不活性ガスであるアルゴ8095%)した「ハイアルゴンガス」)添加により,溶融池の対流を制御し,Siは凝集機構により,スラグを溶接終端まで溶融級ハイテン材の場合,溶接長)。Behavior of Electrodeposition Coating by Slag SizeHAEW2の基本コンセプトは,溶接ビード上に生じるMn-Ti系スラグに改質し,電着密着性HAEW以下など)が更に添Mn200mm)を提案する。Steel(a) Large slagFlowFlowSteelDuring hardening(b) Small slagSteelAfter hardeningSlagSlagSlagSlagアルゴン溶接(を提案した。HAEWンの比率を高く(を用いることで,スラグ発生源となる酸素を減少し,溶接ビード上のスラグ発生量を低減させる。更に,溶接ワイヤへの硫黄(溶接スラグを溶融池後方に位置制御し,最終的に溶接終端のクレータ部にスラグを凝集する。本報では「スラグ凝集ワイヤ」と呼称する。 薄板鋼板の高強度化には,超ハイテン材の適用拡大が効率的である。しかし,超ハイテン材には高強度化のためスラグの原因となる合金成分(加され,スラグ発生量が大きく増加する。加えて,薄板化により剛性が低下する。従来の厚板構造の場合,施工性や入熱量低減をねらい,断続的な溶接施工が散見されるが,薄板構造では溶接がない不連続部分にて,剛性や強度の低下が生じる。この対策として溶接の連続性を確保するため,溶接長を延長する傾向にある。HAEW金属上を移動させるため,凝集可能なスラグ量に制約が780MPaある。度がスラグ凝集の限界である。 薄板高強度化による軽量化と,それを支える溶接長延長は,スラグ量を増加させる。したがって,剛性と防錆2)にて,スラグ微細化によるスラグ表面への電着塗膜付着のメカニズムを報告し,スラグ無害化のためのスラグ微Fig. 3細化の必要性を示した(Fig. 3 本報では,更なる材料の薄板高強度化に対応すべく,新型ハイアルゴン溶接(以下HAEW2スラグの分散・逐次無害化である。薄板高強度化により増大するスラグを,ワイヤ成分により早期に微細化・分散し,ノズル細径化と溶接高速化により溶融池後方を意図的に酸化させることで生じる強固な複合酸化物で微細なスラグを被覆する。加えて,ビード止端部に残留したSi-Mn系スラグを173性確保が必要である。それゆえ,板金部品構造を採用する場合,厚板を連続溶接するのが一般的である。その際,溶接部近傍の発錆の抑制が必要となる。初期に生じた錆は外観を損ない,お客様に部品破損を想起させる。また,錆が進展すると,最終的に板厚減少が生じ,部品機能を劣化させる懸念がある。 錆の発生を抑制する手段として,金属表面に塗装を施し,母材金属と外部からの酸素供給源(水・酸素)との接触を遮断することが効果的であり,自動車用板金部品においてはカチオン電着塗装を施すことが一般的である。しかし,カチオン電着塗装の欠損がある場合,早期に水・酸素が母材金属に到達し,発錆につながる。自動車用足回り板金部品では,エッジ部,溶接ビード近傍のスFig. ラグ,スパッタ,酸化被膜が防錆上の弱点となる(1)。Fig. 1Rusting Mechanism and Anti-Rust Weak Spots ここで,錆の進展挙動を「腐食抑制期間」及び「腐食進展速度」のつの指標で定義する。「腐食抑制期間」は錆が初めて発生するまでの時間,腐食進展速度は腐食面積の増加速度を示す(抑制期間の最大化・腐食進展速度の最小化」が必要である。 母材及びワイヤ中の合金成分とシールドガス中の酸素成分が溶接時のアーク直下で反応し,溶接スラグが生じる。スラグはガラス質で導電性が低いため,電着密着性を阻害し,腐食抑制期間を悪化させる。スラグを抑制することで,発錆までの期間を適切に確保できる。Fig. 2Rust Growth Behavior3.1 新型ハイアルゴン溶接・スラグ分散ワイヤ開発( 既報にて,防錆性能向上の重要因子である溶接ビード上のスラグ抑制のメカニズムと,それを実現するハイ)。防錆性能向上には「腐食Fig. 2

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