3. 金型たわみを加味した解析手法構築Fig. 7Conventional CAE ProcessFig. 8)。この技術のメリットFig. 8Strongly Coupled AnalysisFig. 9)。絞り成形時の金型の逐次変では材料をホールドした際,ドロービードと呼ばれる形状を成形し,流入抵抗を付与することで材料流入量を制御しようとしている(流入量が机上予測と一致せず,デザインの忠実再現のためには,熟練作業者による手修正の対応を余儀なくされていた。 この問題を解決するために,材料流入量制御技術を構築した。Fig. 53.1 予実差の原因調査 実機パネルの計測結果,流入量の予実差は,流入量を制御するドロービードの形状がねらいの形状から僅かに崩れていることが原因であることが判明した(ドロービードはその形状によって,材料流入量を制御する流入抵抗を発生させる。ドロービードの形状が崩れることで,本来必要な流入抵抗力が変化し,材料流入量に予実差が生じている。Fig. 6Difference between CAE and Actual Bead Shape 次に従来のCAEプロセスを以下に示す(シミュレーションでは,プレス成形の初期段階での方案検討,成形性評価において重要な役割を果たしてきた。しかし,この成形シミュレーションは金型を剛体と仮定して計算している。そのため,実機の成形過程で発生する成形反力による金型の変形が考慮されていない。その結果,机上と実機の成形パネルに差異が生じていると考えられる。 更に,金型変形を評価する金型剛性解析では,成形シミュレーションで計算された成形反力の値をインプットとしている。そのため,金型強度やたわみは評価できるが,金型の変形によるパネル形状の品質を評価することができない。また,成形過程のあるストロークにおける)。しかし,現状はこの材料Fig. 5Draw Bead MoldingFig. 7静的な状態を評価しているため,成形過程で逐次発生する動的な荷重変化による金型の変形を評価することができない。 そこで,これらの問題を解決するために,金型を弾性体としながら,動的にパネル成形性を評価出来る強連成解析手法を活用することにした。3.2 強連成解析の導入とその有効性 強連成解析とは,金型を弾性体として成形シミュレーションを行う技術である()。は,プレス成形の過程で逐次発生する成形反力の大きさFig. 6や向きを適宜金型の変形へ反映させながら,パネル成形性の評価が行える点にある。これにより,特に絞り成形においては,より実機に近いシミュレーション結果を得ることが期待できる。)。成形 この技術の有効性を検証するため,机上と実機の流入量を比較検証した(形により,ドロービードの形状が実機と同じように変化することを再現できた。その結果,従来の成形シミュレーションと比較して,材料流入量の予測精度が向上した。これにより,強連成解析が実機に近い結果を提供する有効な手法であることが確認された。181――マツダ技報No.41(2025)
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