マツダ技報2025
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の――マツダ技報No.41(2025)    4. プロセス革新に向けた取り組み内容Difference in Inflow Resistance10%以下)で最大化するものであ)。構造解析を行い,その結果から感度解析をTopology Optimization Calculation FlowFig. 11 以上の結果から,金型がたわむことでドロービードの形状がねらいから外れ,流入抵抗が変化することで流入量に予実差が生じるという一連のメカニズムを解明することができた。この分析結果から,流入量の予実差要因となる材料ホールド時の金型たわみ量の最小化に取り組んだ。4.2 金型たわみ量最小化の検討 金型剛性の向上を図るための最も簡便な方法は,断面構造を中実に近づけることである。しかし,この方法では鋳物の重量が大幅に増加し,コスト上昇や鋳物製作時)。排出量の増加を招く。したがって,従来の構造よCO2りも軽量化を図りつつ,金型剛性を向上させることが求められる。本取り組み事例では,軽量かつ高剛性な金型構造を導出する手段としてトポロジー最適化を活用した。 トポロジー最適化とは,設計空間(材料分布範囲)内で最適なレイアウト(配置)を生成する手法であり,目的とする性能基準(本稿の場合は剛性)を制約条件下(本稿の場合は体積をる(Fig. 12行い,モデル更新を実施することで基本骨格及び基本断面を導き出す。Fig. 11)。Fig. 12 プレス金型の重要な骨格部分を見極めるために,このトポロジー最適化を活用してきた。トポロジー最適化により基本骨格を導出するにあたり,流入量の予実差要因となっている成形反力に対する型剛性向上を目的として,材料ホールド時のドロービード成形における入力荷重を与えた。これにより,成形反力に対して必要な骨格形状を導出した。導出された構造部を以下に示す(182Fig. 9Comparison of Material Inflow この強連成解析を活用し,金型のたわみが材料流入量を変化させるメカニズムの解明に着手した。4.1 メカニズム解明 強連成解析手法を活用し,従来の成形シミュレーションと結果を比較しながら流入量に予実差が生じるメカニズム分析を行った。強連成の解析結果を分析した結果,材料ホールド時にドロービードを成形した際に,成形反力によってブランクホルダーが内倒れ変形を起こしていることが確認できた。これに伴い,ドロービードの形状もブランクホルダーのたわみ量とほぼ同程度,ねらいの形状から崩れていることが確認できた(Fig. 10Relationship between Die Deflection and Bead  次に流入抵抗を分析した結果を以下に示す(ドロービードの形状がねらいから外れて形状が変化したことで,従来の成形シミュレーションと比較して流入抵1.2抗が約倍大きくなっていることが分かった。Fig. 13)。Fig. 10Shape

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