マツダ技報2025
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%――マツダ技報No.41(2025)    Optimal Cross-Sectional Structure50)が%程度だったのに対して,一致度Fig. 17OptimizationFig. 15)。SkeletonFig. 13Critical Skeleton Derived from Topology  この導出結果から,入力荷重(成形荷重)を与えた成形部から,固定点(プレス設備)までをアーチ状につなぐ構造が軽量,かつ高剛性なかたちであることが判明した。 このトポロジー最適化から得られた結果をヒントに,基本骨格の作成を行った。トポロジー最適化から導出された構造部は,入力条件に対して必要な要素のみを計算結果として出力するため,その他の型機能上必要な要素(金型を吊り上げるハンガー構造など)は出力結果に反映Fig. 14されない()。更に,鋳物製作性も満足していない構造となっており,このまま基本骨格として使用するためには,モデルの修正が必要である。Fig. 14Structure Derived from Topology Optimization そのため,トポロジー最適化から導出された構造部をベースに鋳造性を考慮しながら,基本機能を満たすために必要な構造物は追加を行った(Fig. 15The Process of Modification of the Basic  次に部位ごとの剛性寄与度評価を行った。寄与度の評価には実験計画法を使用した。トポロジー最適化結果に修正を行った基本骨格に対して,基本断面の部位を因子に置き換え水準を設定し,各組み合わせごとの評価を行った。この評価結果に基づいて断面構造を決定し,製Fig. %のたわみ量低減10予測値/実測CAE80)。また,金型たわみ作性,量産運用性を考慮した構造を以下に示す(16)。Fig. 16 この断面構造を採用することで型剛性が向上し,金型の軽量化を実現しつつ,従来よりもを達成した。これに加え,断面寸法と入力荷重,ドロービード形状(荷重方向),固定点位置をインプットすることで今回の知見を基に設定された断面構造,断面寸法を導出する構造検討手法を構築した。4.3 金型たわみ量の補正プロセス変革 次に,金型たわみ量の補正プロセスの変革に取り組んだ。プレス金型はどれほど剛性を向上させても,剛体ではないためプレス成型時の大荷重によりわずかに変形してしまう。この変形によって上下型のクリアランスが動的に変わるため,あらかじめ金型のダイフェース面(外周押さえ面)に補正を加える必要がある。 従来の手法は,過去の金型改善の実績や設計者の経験をベースに見込んでおり,新規デザインや生産設備の違い,その他の構造的な差異によるたわみ量の違いにより,実機でのクリアランス調整が必要であった。 新プロセスでは金型構造が定まった段階で再度強連成解析を実施し,金型のたわみ量やその方向,及びパネル成形への影響を見える化し,その結果を基にダイフェース面及びドロービードの補正量を決定するプロセスへ変更した。このプロセスへ変革したことで,見込みの効果を実機で確認していた従来のプロセスに対して,補正の効果を机上で確認し,パネル品質を保証することが可能となった。4.4 織り込みによる効果 これらの技術,補正プロセスの導入により,従来車種では下死点での材料流入量一致度(=100値×と向上させることができた(量,ドロービード形状の予測精度も向上した。結果,調整レスで絞り成形を下死点まで完了させることができ,良好なハイライトの一致度も実現することができた。183

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