32以()()――マツダ技報No.41(2025) 2. サービスパーツ生産の工程と課題Fig. 1Production Life of Automotive PartsFig. 2Proportion of Service Parts Fig. 3Over 25 Years Parts 更に,市場ニーズの急激な変化とともに,エンジン・トランスミッション部品に加えて,電駆部品,そしてサービスパーツへの対応など設計・製造はますます複雑化してきている。 その中で金型や設備の復元が困難となり生産を断念しなければならない事案が過去に発生している。お客さまにとってはいずれも大切な部品であり,製造できないのはマツダの責任であり,企業理念のパーパスとして「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」ことを掲げるメーカーとして,なんとしてもその期待に応えなければならないと考えている。 本稿ではこのような環境変化の中でも,マツダファンの期待に応え続けられる少量鋳造部品に適した新しい砂型鋳造プロセスを開発した。その経緯を報告する。 サービスパーツ生産の流れをためには金型と設備が必要となるが,常時は使用されなAug.2022in HouseFig. 4に示す。生産する1996年にマツダ・デジタル・イノベー)を開始し,以降は以降の金型が劣化した時はMDI3Dデータどおりに復元できる。しかし次元図面でのモノ造りであり,Concerns on Old Parts Productionいため,生産前にメンテナンスが必要となる。金型のメンテナンスでは,機能を確認するためのオーバーホール作業として,分解/清掃/注油/錆び取りを行うが,経年劣化などで機能低下した金型部品については復元補修が必要となるケースもある。 マツダではMDIション(での型づくりを始めた。新製時の前のサービスパーツは復元は熟練技術者が手作業で肉盛溶接し仕上げる。経験に頼った現物合わせの補修方法である。今は当時を知る熟練作業者はほとんど居なくなりノウハウ伝承ができず,何度も復元作業が繰り返されている。その結果金型のメンテナンスに莫大な工数を要している。 また補修内容も多岐にわたるが,サービスパーツは大量生産を前提に金型や設備も設計されているため,少量生産ではライン全体の効率を悪化させる。またサービスパーツとなると金型をつくり変えるような大改善は投資面からできないのが現状である。これらの背景から生産リスクを考え不要の在庫を抱えざるを得ず,保管や管理業務も発生している。 金型は生産頻度の多寡にかかわらず保管には所定の面積が必要になるため保管場所の確保も大きな課題となっており,新型部品の導入に伴うサービスパーツ用金型の移動や管理などの付随業務も増加している。 同様にサービスパーツを生産するために旧型設備を保有するケースも多く,そういった設備の稼働率は著しく低い。稼働前には金型と同じく多くのメンテナンスを要している。場合によっては,少量のサービスパーツ生産を試作専門業者様に委託せざるを得ない状況も多く発生している。 このように少量出荷生産ではさまざまな要因が重なり生産性が著しく悪化しており,ビジネスとして成立しておらず,今後も生産を継続するためにはこの点の改善が必須と考える。Fig. 432次元デジタルデータMDI
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