マツダ技報2025
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(砂13の(1)0砂22――マツダ技報No.41(2025)    )AM(回転し動力を生み出す重要な部品)。(いリードタイムを要するAM4. 鋳型の適用検討3. 解決のための技術開発3.1 解決技術の検討 前章で述べたとおり,サービスパーツの金型・設備を今後も維持管理し続けるのは困難でコストもかかる。その対応として金型などの要具を用いず,直接素材を製造3Dする方法としてプリンターを活用した製造方法(以Rapid Prototype 前は(Additive Manufacturing 部品生産ができれば多くの金型の共通課題である補修や保管は不要となり,付随する多くの管理業務も削減できる。 しかしながらで鋳造部品を直接作ることが理想でAMはあるが,製造プロセスを大きく変更することになり,新車開発と同等の耐久試験等の評価が必要となるため,現実的と言えない。そこで製品設計に影響しない鋳型への適用が現時点では最適と考えた。 鋳造プロセスで用いられる鋳型にはに砂型と金型がある。ダイカスト等で用いられる金型へAM適用は鋳造品質の確認に期間を要すると判断し,AMまず砂型へ適用しその次に取り組むこととした。更に最終目標をダイレクトに鋳造部品をつくることし,砂AMAM型への適用を全領域のFig. 5Material Less ApproachAM 砂型のプロセスは最初に砂型のし,次にスライスしたモデルの断面を固めながら繰り返し積み重ねることで立体的に造型する。この方式を以下,AMと呼ぶ。3D 設計したデータは保管され,必要に応じてデータを呼び出して砂型をプリントアウトすることで生産を維持できる。従って,砂型造型用の金型は不要,つまり型レス化が可能となる。 更に,鋳造方案の設計抜け勾配やアンダーカットの金型制約もなくなり,設計の自由度が向上し鋳造品質を向上させる設計が可能になると考えた。これにより,最新のプロセスへ対応できる鋳型を,金型制約に捉われずに製作することが可能になる。このように従来の金型を単AM純にで置き換えるだけでなく,製造プロセスの悪さを改善するツールとしてな付加価値を加え損益分岐点を下げ,導入効果を最大化AM技術確立の考え方の製造法は統一すべきと考えた。AMAMではローターの要求特性Fig. 6で設計されているが,金型や設備ローターの場合,ローター同士のバラRPと呼ばれた製法。現在はAM))がある。このFig. 5に示すよう技術開発の出発点とした。3Dモデルを設計を使いこなすことで,新たAMできると考えた。これは今後の新しい量産部品の製造プロセス革新につながると考える。3.2 砂 砂型の製造法も多様で,①常温硬化するフラン鋳型は試作,②加熱硬化するシェル鋳型は鋳鉄,③ガスで硬化するコールドボックス鋳型はアルミというように材質に応じて最適な方法を採用している。そのため少量生産のにより際にも多くの中子造型種類の専用設備を保有しなければならない。 それぞれの製造法に特徴があり,鋳造プロセスとも密接に関連し選択されてきたが,今後多くの部品へのサービスパーツ生産の対応を考慮すると,ビジネス視点からも生産に関する変動要素を減らし固定要素を増やしコストを下げるという考えで,砂 対象部品の選定4.13.2節で述べたとおり,量産部品製造では砂型製造プロセスを,砂で導入メリットを最大化できる。部品選定については部品固有の生産課題の解決を考慮し,鋳鉄とアルミからそれぞれ選定することにした。1)鋳鉄 鋳鉄部品の中から,ローター(ターはロータリーエンジンにおいて,エンジンの中心部でスタントにサービスパーツとして生産を継続している。 ローターは回転体のため,重心と回転軸のずれ量に質量を乗じたアンバランス評価が重要である。アンバランスがあると角速度を二乗した遠心力が発生し,異音や振動の原因となる。その大きな要因が中子型である。中子型はアンバランス量が劣化すると肉厚バランスが崩れ,アンバランスが発生してしまう。これを防ぐため調整座を設け,アンバランス量を規格に収まるようワークに追加工や金型調整を行うが,機械加工後に組立し実際に回転させないと計測・フィードバックができないためタイムリーな調整には長 また新車時のンスも重要で,重量をランク分けし,ランクの近いローターを選別して組み合わせ生産していたが,サービスパーツでは一方の重量ランクが分からないため中央のランク品を払い出すしかできず,結果として量産より厳しい規格幅で管理している。 このため,サービスパーツのローターはマツダ鋳鉄部品の中で最も緻密な金型の維持管理が要求され,多大な工数をかけて対応しているのが実情である。これを砂AMにより精密に造型することで維持管理は不要になり,33種類ある種類に集約すること)に着目した。ローであり,現在でもコン

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