,に■(BAC――マツダ技報No.41(2025) ■AI2. 課題と活動生産工程の作業負荷評価の効率化STEPFig. 1Evaluation Process技術を活用している。この骨格推定の)。STEPに基づいて課題解Fig. 1AIは,動)と右ひじの位置)を求めることで,手 そして作業全体から負荷の高い姿勢を行っている時間OK/をカウントし,合計作業時間に基づいて作業性のNGの判定を行っている。一連の評価フローを示す。 このシステムによって,これまで手作業で評価していた膨大な数の評価対象の工程に対し,動画を撮影するだけで自動かつ一定の基準で評価することができるようになった。本システムは負荷の高い姿勢の評価を目的としているが,今後は作業者が保持するツールや荷物による「重量物の取り扱いに起因する作業」の評価についても機能拡張を計画している。3.2 姿勢状態の算出 負荷の高い姿勢状態の算出を行うにあたり,オープンソースソフトウェアの機械学習モデルによる骨格推定をAI行う画の構成する一つ一つのフレームごとに,作業者の肩やひじ・腰・膝などの骨格の特徴点を推定する。そして各特徴点の座標値(≒位置情報)を,フレーム順の時系列データとして出力する。 このようにして得られた各特徴点の座標値を用いて,作業者の姿勢状態を算出した。右手を上げた状態を算出する場合の例として,右肩の位置()からなるベクトルの角度(Fig. 2の上がり角度を算出する( 同様の考え方で「腰を曲げた作業」や「膝を曲げる作業」ついても,各関節の曲げ角度から姿勢状態を算出した。41 本稿ではこのような無理なく安全に働ける製造環境整備に向けた取り組みについて紹介する。 現在,マツダではエルゴノミクス(人間工学)に基づいて,作業負荷評価を行っている。この作業負荷評価は,生産工程での直接作業の中から重量物の取り扱いや難姿勢といった負荷の高くなる要素作業を目視で確認し,作業時間に応じて負荷の大きさを評価する手法である。 しかしながら,この方法では作業姿勢の定義を目視判定に頼っているため,評価者によって評価結果にばらつきが生じてしまう。また,職場内の工程数と混流生産の種類数の掛け合わせにより,評価対象数が多くなるため,非常に時間がかかる。そのため,生産工程での作業の負荷を正しく把握するためには,定量的かつ効率的に作業負荷を評価できる仕組みが必要となる。 また現在,作業負荷の評価結果は,各工場の部門ごとに集計されている。そのため,工場間をまたがった一元管理ができておらず,問題があった場合の対策はその職場の工程のみに限定される。その結果,他工場での類似作業で問題が再発してしまう課題があり,問題の未然防止が出来ない仕組みとなっている。生産工程の作業内容と作業負荷の評価結果を紐付け,関係部門全体で課題を共有できる仕組みを構築する必要がある。 本取り組みでは,以下の活動決に取り組んだ。STEP1: 生産工程の作業負荷評価の効率化により骨格推定を行い作業負荷の評価を自動化し,評価時間を大幅に短縮するとともに,より正確に評価する。STEP2: 生産現場における課題の共有ネットワークサーバーに作業負荷評価システムを構築し,その作業負荷評価結果をネットワークサーバー上に保存することで,工場や生産現場によらず,共通のデータベース上で一元管理を行う。3. STEP1: 3.1 作業負荷評価システムの概要 現状の生産工程での作業負荷を正しく把握する仕組みが必要である。そこで画像や動画の画面にいる人物の骨格を推定する技術を活用することで,生産工程の作業AIの様子を撮影した動画から作業者の骨格を推定し,負荷の高い姿勢を算出するシステムを考案した。 特に「手を上げて行う作業」・「腰を曲げる作業」・「膝を曲げる作業」を負荷の高い姿勢と位置づけ,負荷評価の対象とした。これらの負荷の高い姿勢は,各関節の曲げ角度に閾値を設け,推定された作業者の骨格情報から算出した。
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