マツダ技報2025
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23222層ユ-(135――マツダ技報No.41(2025)  )。そのため,エネルギー消費を抑えながら,効果的(る)。(らない暗所では疎水性になり,防曇性能を示さない)。しかし,超撥水性は,材料表面の微小な凹凸形層HVAC)。内外気(ニットが報告されている),ナノ粒子を添加すると,2. )撥水性防曇材Fig. 2防曇材料の種類2吸水性防曇材料開発に防曇が可能な防曇窓技術が求められている。(a)(b) Fig. 1(a) Mechanism of Window Fogging, (b) Image of Ventilation Load for Antifogging 窓の曇りを低エネルギーで防ぐ方法として,車両下部は内気循環によって最小限のエネルギーで暖房し,車両上部は外気導入で窓曇りを防ぐ,内外気は,低エネルギーで空調性と防曇性能を実現可能な技術だが,外気と内気が別々の流路を必要とし,部品数の増加やユニットの大型化を引き起こし,小型車種へHVACの搭載が制限される可能性がある。HVAC 著者らは,ユニットの大型化を避けながら,低エネルギーでの防曇を実現する方法として,防曇窓に注目した。防曇窓は窓表面に付着した水滴の状態を制御することで曇りを防ぐ技術である。今回,防曇性能と耐久性を両立させた防曇材料を開発し,更に開発した防曇材料による航続距離の向上効果を予測するモデルを構築した。本論文では,開発した防曇材料の概要と,モデルによる効果試算結果を報告する。 防曇材料は,()親水性防曇材料,(料,()吸水性防曇材料の三種類存在する(Fig. 2The Advantages and Disadvantages of Three Types of Antifogging Materials 親水性防曇材料は,材料表面の水接触角が小さく,水滴が表面に濡れ広がり,薄い水膜を形成して光の散乱を防ぐ方法である。例えば,酸化チタンは,紫外線照射後に材料表面の水酸基濃度が上昇し,優れた防曇性能を示すことが報告されている。しかし,酸化チタンが親水性を発現するには,紫外線照射が必要なため,日光が当た更に,親水性防曇材料上に形成される水膜は,氷点下で凍結するため,透明性が著しく損なわれ,氷点下に晒される環境での利用が制限される。 次に,撥水性防曇材料は,結露した水滴を自重で滑落させて防曇する方法である。ナノスケールの表面凹凸と低表面エネルギーを組み合わせて,固体表面の水の接触角が(ある1504状に起因する例が多く,製造が複雑であり,大面積化が困難という欠点がある。そのため,撥水性材料の防曇材料としての用途は限られている。HVAC 最後に,吸水性防曇材料は,結露した水滴を材料中にユニット吸水して防曇する方法である。吸水性防曇材料中に吸収された水は,材料にくい状態で存在する。本取り組みでは,氷点下でも高い防曇性能を示しながら,大面積化も比較的容易な吸水性防曇材料について着目した。3. 3.1 吸水性防曇材料の開発方針 吸水性防曇材料の代表例は,ポリビニルアルコールPVA)等の親水性ポリマーを透明材料表面に塗工する手法である。しかし,親水性ポリマーは,耐傷付き性が低く,長期の使用により透明性や防曇性能が低下する課題がある。防曇材料の耐傷付き性向上の検討が多数報告されているが,一般的に防曇性能と耐傷付き性能はトレードオフの関係である。例えば,樹脂の硬度を高くして耐傷付き性を向上させるために,親水性ポリマーにナノ粒(子を添加する報告例があるが)。ポリマー中の吸水サイトが減少するため防曇性能が低下する。 そこで,有機無機ハイブリッド材料に着目し,防曇性能と耐傷付き性の両立を目指した。有機無機ハイブリッド材料は,有機材料と無機材料の両方の特性を組み合わせることで,従来にない特性をもった材料として近年注目されている。例えば,無機成分の高い機械強度と,有機成分の機能付与の両立が可能である。今回,有機成分で吸水性機能を発現し,無機成分で高い耐傷付き性を付与可能な,有機無機ハイブリッド材料の実現をねらった。なお,目標の吸水性能はベンチマークなどから吸水率12wt%以上とした。69°以上である超撥水性を発現する材料の報告例が水間の強い水素結合によって凍結し

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