株主の皆様へT
 
竹林会長&ジェームズCEO
竹林 守 会長 ジェームズ・イー・ミラー
代表取締役社長・CEO
「積極的変革」を徹底

当事業年度(平成11年3月31日終了年度)はマツダグループにとって、まさに「積極的変革の年」となりました。最も顕著な変革は当期の連結業績に表れています。売上高が前期比0.8%増の20,571億円となり、当期利益は前年度比455億円増の387億円となりました。これで、マツダは連結ベースで6期ぶりの黒字化を達成したことになり、利益幅も1985年度の最高益にあと8億円に迫るレベルとなりました。この結果、マツダにとっては7期ぶりの配当となる一株当たり4円の株主配当を決定いたしました。これらの結果で明らかなように、マツダグループの業績は着実に回復しつつあることを御報告させていただきます。

 販売面では、世界の主要三大市場である日本、欧州、北米において、大きな前進を遂げることができました。日本国内においては、総市場動向が引き続き低迷する中、マツダはマーケットシェアを前期の5.1%から5.4%へ引き上げることが出来ました。この背景としては、デミオの販売が引き続き堅調であったこと、カペラワゴン、ファミリア、ロードスターなどの新型車が好調に推移したこと、が上げられます。また、革新的な販売・マーケティング施策を展開したことにより、販売会社の業績回復が著しく、これらが総じて販売の拡大に貢献したことも見逃せない要因となっています。

 欧州市場においては、小売販売台数で過去3期連続二桁成長を達成することができました。ここでも、カペラ(626)ワゴン、ファミリア(323)、ロードスター(MX−5)等の新型モデルが販売台数の伸びに貢献し、中でもディーゼル直噴エンジン搭載のカペラ及びファミリアが好評を博しました。また、当期には欧州の都市型ニーズにマッチしたデミオを新たに投入し、販売が好調に推移していることも大きな要因となっています。

 北米市場では、2年連続で小売販売台数を伸ばすことができました。車種別には、当社のBシリーズピックアップトラック、ロードスター(MX−5 Miata)、ファミリア(Protege)が特に好調で、現地のディストリビュター及びディラー網の再編による効果と相俟って、販売台数を伸ばすことができました。前期に完了しました北米における組織改革も当地域における収益性の向上に大きく寄与する結果となっています。

 一方、通貨・経済危機により引き続き不安定なアジア市場においては、小売販売台数は落ち込む結果となりました。当社は引き続き当地域の経済情勢を注意深く見守り、環境の好転に応じて適切な施策を展開していきたいと考えております。

 このように、国内外の主要市場において総じて好調な営業成績を残し、北米及び欧州の両事業においては1987年以来の黒字化を達成することができました。今後も、販売及びマーケットシェアの両面において更なる改善に向けての努力を要するものの、マツダが歩んでいる方向性が正しいことが証明された一年であったと考えています。

明確なビジョンに基づく戦略

私たち経営陣は今後のマツダの方向性に関して明確な「ビジョン」を持っています。即ち、マツダという企業が長期的にどのような方向に進むべきであり、この目標に向かって今何をすべきか、に関する明確な戦略を持っていることです。長期的には、財務体質の改善に引き続き努める一方、世界の三大市場である日本、北米、欧州において利益を重視した健全な成長を目指していきます。また、その他地域においては、リスクが適正であれば、チャンスを逃すことなく積極的にチャレンジしていきたいと考えています。このグローバルな戦略を展開していく上で、当社のパートナーであるフォード社との関係を有効に活用していくことが最も重要と考えています。マツダとフォードは、相乗効果を最大限に引き出し、それぞれの成長戦略を遂行するために、「規模の経済」のメリットと効率を追求し、数々の市場で互いのディストリビューション網を有効に活用できる施策を既に実施もしくは検討しています。

 グローバルに安定かつ収益力ある事業を展開するために、マツダは事業のあらゆる面で一層の効率化を追求していくと同時に、商品の品質とCS(顧客満足)に裏打ちされた強力なブランドイメージを確立することにより、競合他車との差別化を図っていかなければならない、と考えています。効率化に関しましては、マツダは前期までに日本における事業体制を改革し、かつ北米の組織改革を実行してきました。当期には、欧州における事業体制の効率化に着手し、ベルギーにある当社の子会社であるマツダモーターヨーロッパS.A./N.Vの販売・マーケティング・顧客サービス及び企画・管理機能を、ドイツに新設した子会社であるマツダモーターヨーロッパGmbHへ移行しました。更に、欧州地域における車両、部品の流通を統合管理していくために、平成11年9月にはマツダモーターヨーロッパS.A/N.Vと同じくベルギーのマツダモーターパーツセンター(ヨーロッパ)を合併し、新会社名をマツダモーターロジスティックスヨーロッパN.V.としました。これらの施策は、同地域における顧客サービス向上と販売促進に寄与すると同時に、財務面での効率化にも大きく貢献するものと期待しています。  これらの体制のもと当期さまざまな施策を展開し、次のような成果を達成することができました。

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