株主の皆様へT
  ●財務体質の一層の強化

当社はかねてより、財務体質の改善を経営上の最重要課題のひとつに据え努力してきました。第一の目標は、事業活動のさまざまな局面においてキャッシュ・フローを改善することにより有利子負債を最小限にまで減らし、健全なバランスシート構成へと転換していくことにあります。

 
現在、200名あまりの幹部スタッフが、いかに資産の有効活用を実現するかを最大の課題に据え、年間1,000億円の追加キャッシュフローを捻出すべく努力しております。2000年3月期の目標としては、1,700億円のキャッシュフローの改善を予定しています。

 財務面の目標指標としては、長期的に、売上高利益率5%、総資産利益率3%、有利子負債株主資本比率50%を達成したいと考えています。

● 国内販売網の再構築と強化

国内の販売網をいかに再構築するかが、マツダの大きな課題のひとつです。マツダは既に国内のディラー4系列をマツダ、マツダ・アンフィニ、マツダ・オートザムの3系列に整理統合し、次の課題として、各販売会社の業績の向上ならびに財務体質の改善を図ることを最大の目標としています。

 各ディーラーの業務の効率化を実現するために、マツダでは現在「販社エリア戦略」と称するプログラムを展開しています。これは、都道府県単位で、店舗の担当エリアの重複を調整し、不採算拠点を廃止すると同時に、当該地域の販社の総務・管理機能を統合・一括管理し、効率性を向上させるものです。当期においてはコスト削減ならびに業務効率化により、販売会社の財務体質と収益性の改善において大きな成果を達成することができました。平成11年7月までに、このプログラムの対象を17都道府県43の販売会社まで拡大してきました。このほかにも、マツダは各種の拡販プロジェクト及びCSプログラムを全国規模で展開し、各販売店の販売効率を向上させました。

 なお、当期には国内の販売会社に対して、総額1,450億円の劣後貸付を実施しました。これにより、販売会社が銀行債務を軽減し、ディーラー本来の目的である車両販売ならびに高品質サービスの提供専念できるものと確信しています。

● ブランド・マネジメント戦略を展開

当期には、マツダグループ全体で新たなブランド・マネジメント戦略の展開をスタートしました。今回の新戦略の発表は、実質的にはマツダのブランドイメージ戦略の第三段階に位置しています。第一段階では、1997年に新たなブランドシンボルを導入し、第二段階では、日本、北米、欧州と個別に展開していたブランド戦略を統合し、世界共通のブランド戦略を確立すると同時に、新しいブランドシンボルとマツダ独自のファイブポイントグリルで構成される新たなファミリーフェイスを導入しました。

 第三段階は、平成11年春に発表したプレマシーから導入された「ブランドパーソナリティー(ブランド資質)」と「プロダクトアトリビューツ(商品特性)」をマツダの全社員に理解させることからスタートしました。マツダのブランド資質の基本を「Stylish(センスの良い)」、「Insightful(創意に富む)」、「Spirited(はつらつとした)」の三つの言葉で表現し、商品特性を「Distinctive Design(際立つデザイン)」「Exceptional Functionality(抜群の機能性)」、「Responsive Handling and Performance(反応の優れたハンドリングと性能)」の三つで構成しました。人間に例えると、細胞のDNAのように、これらの商品特性がフォードを含めた競合他車とマツダとの差別化を図っていく核となります。このDNAこそが世界中のお客様へのマツダからの「主張」であり、このDNAを媒介としてマツダブランドに対するファンを広く育成していきたいと考えています。そして、最も重要なことは、このDNAを具体的に商品に展開するにあたって、車両開発からデザイン、設計、生産、販売・サービスの各現場において、常にお客様を中心に考え、活動に取り組んでいくことです。この戦略は、マツダグループが世界レベルで取り組んでいく方向性であり、マツダの今後の成長戦略の根幹を形成するものです。この戦略を実行していくことにより、世界市場における競争を勝ち抜き、お客様の満足度を向上させ、究極的には利益を拡大していけるものと考えています。ブランド戦略の詳細に関しましては、本レポートの特集セクションでご紹介します。
  対話1 対話2
  明確なビジョンを基に策定した戦略を、社内外との十分な対話を通じて実行していくことにより、各レベルの活動を効率化し、世界トップクラスの品質と世界ナンバーワン顧客満足度を達成できるものと考えます。

< 前へ 次へ >