マツダ技報 2020 No.37
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(1)諸元寸法 外観諸元は,生活の中でコンパクトさを必要とするさまざまなシーンを想定し,お客様が最も価値を感じられるシーンを抽出して寸法を決めた。 全長は,欧州で日常的に行う縦列駐車の際,他車が出た後のスペースに停め易くすることを考え,車両販売数の多いCo-XO & CḋHBの群れに入れるべく4400mmに抑える事を決めた。更に,日本における立体駐車場へのアクセスを考え,全高は1540mm以下,全幅は1795mmとした。またクロスオーバーらしく大径タイヤを履きながらも,最小回転半径はMAZDA3と同じとなる様,ホイールベースをMAZDA3より70mm短い,2655mmとした(Fig. 1)。(2)荷室スペース 荷室は,お客様の使い勝手を優先し,荷室スペースの確保を行った。 ターゲットカスタマーであるヤングファミリーが,組み立て家具など,大きく重い物を購入して持ち帰るシーンに注力し,クルマへ載せ降ろししやすい様,荷室開口の高さ/幅にこだわった。特に,開口高さ(地上高)に関しては,社内基準がある中,開発チームのこのクルマに対する強い想い入れを具現化すべく,高さが変化するモックアップを造り,図面ではわからない感覚的な所までこだわり,関係者で最適な高さをターゲットとした。載せ降ろしの指標となる開口高さを目標まで下げるため,質量が増えるものの開口のボディー断面を拡大し実現した(Fig. 2)。 更に,子供の誕生を迎えるヤングファミリーには不可欠な荷物であるベビーカーについても注力した。国内で代表的なA型だけでなく,近年のトレンドを反映し,大きなタイヤが特徴の海外ベビーカーも積める様,検討に入れた。子どもを連れた旅行や帰省では,ベビーカーと一緒にスーツケースやお土産といった荷物を積むことになる。それら荷物で満載時,影響が大きいのがリフトゲートトリムである。満載で閉めた時に干渉して閉まらない経験をしたことがある人も多いことを想定し,それ―4―3.1 デザイン CXḋ30のデザインコンセプトは「Sleek and Bold」と定めた。ヤングファミリーの日常をサポートしながら創造性豊かな生活を届けるため,一般的にデザイン性と相反するはずの居住性や荷室容量などにも一切の妥協をすることなく,伸びやかな美しさの中にSUVらしい力強さが融合したプロポーションを創り上げた。更に,見るたび触れるたびに感性が共鳴することをねらった,時間や場所によりその表情を変える美しいボディーサーフェスや,包まれ感と抜け感を鮮やかに対比させた,乗る人全てが一体感と心地よさを感じられる上質なインテリアなど細部に至るまで造り込みを行った。3.2 パッケージング 何処へでも自由に行ける気軽さをもつコンパクトなサイズでありながら,子供や友人と気兼ねなくレジャーに行ける室内空間を持ち合わせたパッケージの実現は,CXḋ30にとって大切な要素の一つである。Fig. 1 Tire Diameter vs. Turning Radius様に笑顔を届けられると考えた。また,CXḋ30をお客様の生活に寄り添い愛されるモデルにするため,ターゲットカスタマーやコンセプトを定める上で,市場情報等の定量データからニーズを読み解く活動に加え,この転換期を向かえる世界中のお客様に直接会い話を聞かせてもらう活動を行った。データによる包括的な情報と個人のもつ生々しい情報を組み合わせながら議論を重ねた結果,CXḋ30のターゲットカスタマーを,「新たな発見や挑戦を楽しみ,大切な人との創造性あふれる生活を送るヤングファミリー」と定義した。2.2 商品コンセプト CXḋ30では,このような人々の「人生の転換期」を輝かせるクルマを目指し商品コンセプトを,「人生の幅が広がる・世界が広がる」と定め4つのKey Value (以降KV) を下記と定義した。 KV1: 美しさに感性が共鳴し,創造性豊かな自分にな KV2:大切な人と過ごす時間を通して,絆が深まる。 KV3:自分の意志のまま,自由に走り出せる。 KV4:心の余裕が,日常の中に新たな発見を生む。 これらの価値を高次元で実現するために,都市~郊外までシーンに依らず取り回しのよいコンパクトな外観諸元の中に,(KV1)感性が共鳴する美しさ,(KV2)同乗者全員が充実した時間を共有できる上質な空間,(KV3)ヤングファミリーの生活に必要十分な荷室,(KV3)ドライバーの意思にシンクロするダイナミック性能,(KV4)安心かつスマートな運転を支える人間中心のコックピットと先進安全装備を凝縮させた。3. 商品特徴れる。

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