マツダ技報 2020 No.37
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(3)室内スペース 長距離移動も心地よく過ごせる,ゆとりある室内空間でありながら,乗員同士が近過ぎず遠過ぎず,コミュニケーションが弾むレイアウトの実現を目指して乗員配置,着座姿勢を決めた。 まず,前席乗員は,1クラス上の左右席距離を確保し,くつろいだ姿勢で移動を楽しめるゆとりあるスペースを作り上げた。前後席乗員の距離も,CXḋ3比 26mm拡大しつつ,後席空間はCo-XO & CḋHB群の中でTopレベルを確保した(Fig. 3)。後席の着座姿勢も,前席同様に人間の自然な背骨の形であるS字の姿勢が取れ,かつ安楽な関節角が取れる様に設計した。 また,アップライトに座った人は前後Gに対して,体が前に滑りやすい傾向にあり,足を踏ん張って体を支えようとするが,この行動が疲労につながってくる。そこで,足元を少し斜めに持ち上げて踏ん張りやすくすることで,咄嗟に対応しやすくなり,普段はリラックスした状態で過ごすことができる。更に,アップライトにすることでアイポイントを高くし,見晴らし確保に貢献している。この着座姿勢を取ることで,荷室長を確保しながら,全長4400mm以下に収めることができた。 CXḋ30はマツダ車の新規ネームプレートである。さまざまなSUVが登場する中,その個性とお客様の使い勝手を最大限引き出すため,開発企画段階においては,コンセプトだけではなく,それに紐付く各種諸元の決定に大きな力点を置いた。 日常で使っていただける中で,デザインやダイナミック性能だけではなく,一つ一つのこだわりを感じていただければ幸いである。そして,このクルマとともに一人でも多くのお客様の日常や人生に広がりや輝きを感じていただけることを願っている。―5―3.3 ダイナミックパフォーマンス 人間のバランス保持能力をクルマに乗っているときにも最大限に発揮できることを目指した新世代車両構造技術「SKYACTIVḋVEHICLE ARCHITECTURE」をMAZDA3に続いてCXḋ30で採用している。SUVの機能性を担保する大径タイヤの装着,どこへでも自由に行ける気軽さを産み出す短い全長(MAZDA3比)を採用していながら,MAZDA3と等価なドライブフィールを実現している。個々のシステムよりも「クルマ全体のコーディネイト」を重視する「SKYACTIVḋVEHICLE ARCHITECTURE」がねらった,人が座るシートからボディー・サスペンション・タイヤまでの全ての部品が,時間軸で有機的に連携して動くことで実現している。(1)ステアリング・ハンドリング・ライド ロール特性・ピッチ運動・ヨー運動特性を制御し,MAZDA3と等価なドライブフィール(同体質)を実現している。(別稿「5.MAZDA CXḋ30のビークルダイナミクス性能開発」に詳細あり)(2)新i-ACTIV AWD 低μ路だけでなく,ドライ路・悪路でも積極的に駆動力をコントロールし,日々の運転における『安全・安心』と人間特性にマッチした車両挙動を両立し,前輪駆動に迫る実用燃費で実現している。(別稿「6.新世代i-ACTIV AWDの紹介」に詳細あり)(3)空力 MAZDA3で取り組んできた車体下部の風流れの最適化に加えて,新たにタイヤ周りの風流れ制御技術を取り込み,クラストップレベルのCdを実現している。(別稿「4.タイヤ周りの風流れ制御技術を適用したMAZDA CXḋ30の空力開発」に詳細あり)(4)PT MAZDA3と同じユニットを用い,タイヤ径/車重/応答性の違いなどの変化点を,各種キャリブレーションやギヤ比等で補正し,最適な動力性能としている。Fig. 2 Body & Trim Structure at Luggage SpaceFig. 3 Available Passenger Height in Rear Space vs. Luggage Length4. おわりにをさせないため,デザインも巻き込んで取り組んだ。外板を膨らませたデザインとともにトリム面の形状を工夫し,積載性にもこだわったゆとりあるユーティリティの高いスペースを実現した(Fig. 2)。

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