マツダ技報 2020 No.37
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―10―4.1 包まれ感と抜け感を対比させた「間(ま)」の空間 CX30のインテリアは,『人馬一体』・人間中心の思想と,日本の伝統的な建築にも見られる「間」の考え方に基づいて創り上げている。凝縮されたドライバー・コックピットの「包まれ感」と,すっきりとした助手席の「抜け感」を対比させた空間を基本とした。このように『Sleek & Bold』のデザイン・コンセプトのもと,伸びやかな美しさとSUVの大胆さが同居したインテリアを実現した。また上質で豊かな空間を創り上げるため,素材や仕立てなどのクラフトマンシップも追求している。4.2 コックピット・デザイン コックピットはドライバーを中心に完全に左右対称のレイアウトや造形とするとともに,3つの各メーターやセンター・ディスプレーをドライバーに向けて角度を持たせることで,クルマとの一体感と対話のしやすさを強め,運転に集中できる室内環境を整えた(Fig. 8)。Fig. 8 Driver Cockpit4.3 フロント・コンソール ワイドなフロント・コンソールは,操作部を集約した前方のメカニカルなシフト・パネルと,伸びやかでしなやかにキックアップするパッド部の柔らかな表情が,美しく対比したデザインとした。 シフト・パネルには,MAZDA3で導入したバイオエンジニアリングプラスチックの2層成形技術を更に進化させて採用した。上層の深みのあるスモーク・グレーのパネルに光が当たると,下層のパネルに刻まれたメカニカルな金属調のパターンが出現するように,スモークの明度やパターンを吟味した。このように光の移ろいで表情を変化させることによって,上質感と先鋭感を表現した(Fig. 10)。4.4 インテリア・カラー 内装色は,シックな大人の世界を醸し出すリッチ・ブラウンと,モダンで知的な世界を演出するネイビー・ブルーの2色をラインナップした。それぞれに明るいシートとブラックのシートを組み合わせる4つのカラー・コーディネートで,お客様のライフ・スタイルをサポートする。a.リッチ・ブラウン内装 ブラックまたはピュア・ホワイトの本革シートを設定。Fig. 9 Front Passenger SpaceFig. 10 Front Console果であり,特許取得につながった。 これらの結果,CX30はクラス・トップレベルの高い空力性能と,『人馬一体』の走りを実現した。4. インテリア・デザイン 前席空間は,メーター・フードを起点に助手席側のドアトリムまで美しくカーブを描くウイング状のフード造形をテーマとした。凝縮感のあるコックピットに対する抜け感を表現するとともに,視覚的な広がりによるすっきりとした居心地のよさを演出している。更には前席乗員を翼で大きく包み込むようなフード・デザインとすることによって,安心感をも提供する。またウイングの縁部分にあしらったステッチや末端部の金属加飾により,インテリア全体の上質さを引き立てた(Fig. 9)。

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