マツダ技報 2020 No.37
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―19―Reducing the aerodynamic drag is essential for cutting CO2 emissions. However, the aerodynamic drag depends on the geometry of the vehicle, so both the aerodynamic performance and the design are necessary for the product development. We studied the Computational Fluid Dynamics (CFD) technique and aerodynamic drag reduction technology, focusing on the tire with rotation. First, we studied CFD validity of the flow around the tire with rotation, focusing on the tire shape and wheel rotation method. Secondly, we studied factors causing energy loss of flow by using the CFD, and achieved 3% Cd value reduction from the technology of previous generation. And, we adopted these new technologies on the aerodynamic development of CX30. As a result, the vehicle achieved top level aerodynamic drag among the same class vehicles and realized the design concept.Vehicle Testing & Research Dept.Akihiro NakataYosuke MorikawaSatoshi OkamotoKey words: Aerodynamics, Design, CFD1. はじめにMAZDA CX30の空力開発Aerodynamic Development for Mazda CX30 by Using Flow Control Technology Around Tire特集:MAZDA CX3004比例して空気抵抗値は大きくなる。そして,Cd値は車両周りを流れる風流れの状態に依って決まる。私たちは車両周りの風流れにおいて渦が発生すると,風がもつ運動エネルギーが損失し,これに比例して空気抵抗が大きくなると考えている(2)。 従って,空気抵抗を低減するためには車両周りの風を制御し,渦を抑制すればよい。ただし,車両周りの風流れは目に見えない複雑な現象であり,渦の発生と発達に関する現象解明は途上にある。既存技術を用いて渦を低減するなら車両形状を平滑にするなどいくつかの手法があるが,既存技術だけに頼った制御は車両パッケージン マツダは走る歓びをお客様にお届けしつつクルマから排出されるCO2を削減することで地球環境との永続的な共存を目指している。自動車のCO2排出量は,エンジンの性能だけでなく走行抵抗にも依存する。私たちが取り組むのは,走行抵抗の一つである空気抵抗の低減である。走行抵抗は主に空気抵抗と転動抵抗に分けられる。空気抵抗の寄与度は車速が高まるほど大きくなり,時速100km/hで走行する場合はおよそ8割を占める(1)。空気抵抗の大小は空気抵抗係数(Cd値)に依存し,Cd値に*1~3  車両実研部 中田 章博*1森川 陽介*2岡本 哲*3要 約 自動車からのCO2排出量削減のために空気抵抗の低減は欠かせない。ただし空気抵抗は車体形状に依存するため,商品開発においてはデザインと空力の両立が命題となる。私たちは,空力性能とデザインを高次元に両立するために,SUVデザインの重要ポイントの一つであり,Cd値への寄与度が大きいタイヤ周りの風流れに注目し,Computational fluid dynamics(CFD)技術と風流れ制御技術開発に取り組んだ。まず,タイヤ形状の再現度とホィール回転手法に着目し,タイヤ周りの風流れの現象を再現できるCFD技術を構築した。そしてCFDを用いて,Cd値に寄与する風流れの運動エネルギー損失の発生要因を分析し,従来技術比でCd値を約3%低減できる新しい風流れ制御技術を確立した。そして新技術をCX30の商品開発に適用することで,デザインコンセプトとクラストップレベルのCd値の両立を実現できた。Summaryタイヤ周りの風流れ制御技術を適用した

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