マツダ技報 2020 No.37
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○○―○○○(1)(2)(3)(4)(5)U∞: testing wind speedP∞: absolute pressure in the wind tunnel3.4 結果と考察(1)タイヤ形状の影響 タイヤ形状の再現度の違いが,式(1)より求めたタイヤ前の圧力係数について及ぼす影響について検証した(Fig. 6)。赤い部分は圧力が高いことを意味し,図中の数値は圧力係数の計測断面の平均値を表している。タイヤ接地部の潰れと溝の形状を再現するとタイヤ前の圧力が低下し,実測値に近づいていることが分かる。Case2はCase1に比べ,タイヤ前圧力が低い。これはタイヤ潰れ―21―850mm850mmPstatic: static pressure at measurement sectionsPtotal: total pressure at measurement sectionsρ: air densityVx-direction: velocity component towards the Xaxis at vxvytpVy=U∞−∞PPtotal2/ρ12U∞tpvx −∞PPstatic2/ρ12U∞Vx=U∞3.2 CFDの解析条件 本研究のCFDは汎用流体解析ソフトであるSTARCCM+®を用い乱流モデルにはDetached Eddy Simulation (DES) を適用し,非定常解析を行った。今回は特に,タイヤ正面部の圧力に影響が大きいと考えられるタイヤ形状の再現度(断面形状とパターン形状)と,タイヤ側面開口部の流入出量への影響が大きいと思われるホイール回転手法の違いについて検討する。それぞれの影響を確認するために以下4条件の解析を実施した(Table 1)。Table 1 CFD Setup○×○Deformed××boundary○―PatternTire shapeRotation wall Wheel rotation methodSliding mesh methodFig. 4 Tire Shape3.3 風洞試験による流れ場計測 風洞試験はシュツットガルド工科大学のFKFS風洞にて,タイヤ回転と路面移動を再現した状態で実施した。タイヤ周りの流れ場計測には4孔ピトー管を使用し,フロントタイヤ前,側部にて全4断面にて速度と圧力を計測した(Fig. 5)。そして,計測した速度・圧力から以下の式(1)~(5)を用い,各特性値を算出した。KE=×C(a)Case1 (Non-deformed) (b)Case2 (deformed) (c)Case3 (with pattern) 50mm400mm400mm270mm400mm10mm250mm140mm30mm30mm50mm10mmSide view Front view Vy-direction: velocity component towards the Yaxis at Case1Case2Case3Case4Fig. 5 Measurement Sectionsmeasurement sectionsmeasurement sections――○CpCCC= = C タイヤサイズは215/55 R18とし,3通りの形状データを用意した(Fig. 4)。Case1はタイヤの総幅と外径の情報を基に作成した簡易形状である。形状作成に際してタイヤのショルダRなど細部の形状については実際の形状の再現性は考慮していない。一方で,Case2, 3は風洞試験に用いたタイヤを3Dスキャンして取得した形状である。Case2, 3ともに風洞テスト時の接地による潰れは再現している。Case2, 3の違いはタイヤの溝の再現有無である。また,ホィールの回転再現手法については2通りの手法について検討した。一つは,実際にホィールのスポークは回転運動させずに,ホィールの壁面に回転速度を付与する手法(rotation wall boundary),もう一方の手法はホィールスポーク部のメッシュを回転させることで,ホィールの剛体回転運動を再現する手法(sliding mesh technique)である。

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