マツダ技報 2020 No.37
32/138

―25―eulaVdC (a)Previous deflector (b)New deflector (a)Previous deflector (b)New deflector Wind directionθy=-32.7[deg.]Previous deflectorWind directionθy=-26.5[deg.]3% ReductionNew deflectorSignitureGrill Front bumperRear deflector A-pillar MirrorRear combilampSide gurnishFront deflectorRear spoiler Rear bumperFig. 20 Image of Flow around DeflectorFig. 21 Deflector with Air Blow StructureFig. 22 Flow Streamline in Front of TireFig. 23 Drag Reduction Performance of 5. CX30の空力とデザインの共創活動5.1 「人とともに創る」共創プロセスによる開発短期化 デザインと空力のブレークスルーの発想を得るためには,双方が両立に向けた議論を早い段階から行う必要がある。そこで私たちは先行段階からデザインコンセプトの理解に努めることに加え,現象理解が容易なCFDを活用し,空力の原理・原則と4章で述べた新しい制御の考New DeflectorFig. 24 Aerodynamic Parts on Upper Body of CX30Fig. 25 Aerodynamic Optimization around Tire of 5.3 最終性能の答え合わせ ムービングベルト付き風洞にて,最終性能確認車両を用いた実機検証を実施し,車両周りの風流れの運動エネルギーについてCFDと風洞実験の相違点を比較検証した。ホィール開口下部の分布に差があるが,これは2章の検討で想定したものであり絶対値の誤差についても想定していた範囲に収まっていた(Fig. 26)。Cd値についても,想定していた誤差の範囲内であり,CFDの結果かCX30Cpうものである(Fig. 21)。これらの構造により,運動エネルギー損失量に寄与するタイヤへの入力風向を約6°小さくすることができた(Fig. 22)。上記の進化によりデザインと両立しながら空力性能を高めることができ,前世代比で約3%Cd値を低減することができた(Fig. 23)。え方と必要機能を設計者やデザイナーにも理解してもらうための場を設け共創活動を行った。その甲斐があって,お互いにブレークスルーの提案をしあうことができ,結果として商品開発を早期収束させつつ,新しい風流れ制御技術を商品に反映させることができた。5.2 風流れの制御機能とデザインの両立構造 空力とデザインの共創対象となった部品は複数ある(Fig. 24)が,特に注力した部位は新しい制御技術を採用したタイヤ周りの造形である。タイヤをボディーから露出させたいデザインコンセプトを実現するために,4章で述べた一度風を取り込んだ風をねらいの方向に排出する構造をフロントバンパーとデフレクタに採用することで,デザインコンセプトとタイヤ周りの風の運動エネルギー損失量低減機能を両立できる構造を導出した(Fig. 25)。

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る