マツダ技報 2020 No.37
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―30―ssenffit lSianosroTerutsoP lloRFig. 14 Body Damping Characteristics ピークが低く,総面積が小さいほど,振動エネルギーを減衰させる高機能なボディー特性である。 CX30は車体のねじり剛性と振動エネルギーの減衰特性を“固定”要素ととらえ,リアボディー構成部品の構造・板厚の新設計により,MAZDA3と同体質なボディー特性を実現した。3.3 入力の位相を揃えるフロントサスペンション構造 バネ上の上下運動は,路面からの前後入力と上下入力の位相関係が重要である。前後入力はロアアームの回転運動により,上下入力はロアアームの傾き(以下,下反角)により決まる。 この上下運動をMAZDA3と同体質にするために,ロアアームの回転運動を等価にした。また車両諸元の違いからロアアームの下反角が同傾となるように,ロアアームとナックルを新形状にした。 同体質化のために守るべき特性・構造を明確にして,“固定”要素ととらえ,前後,上下入力の位相を揃えることで,MAZDA3と同体質な入力特性とバネ上の上下運動を実現した(Fig. 15)。Fig. 15 Front Lower Control Arm Inclination 18%UPRollAngleMAZDA3New CX-30Mazda3PreviousMAZDA3MAZDA3Front Roll Characteristics InitialCX-30Front Floating RollCX-30CX-30(Initialexamination)New CX-30Mazda3WCWCFront Tire New CX-30 Lower Control ArmNew CX-30 BodyMazda3 BodyMazda3 Lower Control ArmFig. 10 Lose Front Roll Balance (Jack Up)Fig. 11 Increasing Roll and Pitch Motion3.2 伝達,減衰機能を実現するボディー構造 車体骨格のねじり剛性をMAZDA3と同じにすることで,等価なボディー特性の実現を図った。車体骨格はMAZDA3の環状構造を踏襲し,ねじり剛性の低下はリアボディー構成部品の感度を分析して,高感度で質量影響が小さい部品の構造・板厚を最適化した(Fig. 12)。Fig. 12 Sensitive Analysis of Rear Body PartsFig. 13 Improved Body Torsional Sti■ness(Front View)Stable feelMAZDA3 Front Sinking RollTimeNew CX-30 (Initial spec.)PitchAngle ロアアームの傾き増加はジャッキアップが増大し,操舵時のロール姿勢はフロント旋回内輪が浮く特性へ変化する(Fig. 10)。 (3)全高,重心高,質量のアップに伴いモーメントが増加して,ロール運動やピッチ運動のバネ上運動が増大する(Fig. 11)。 その結果,車体骨格の質量増加を最小減に抑え,MAZDA3と同等な車体ねじり剛性を実現した(Fig. 13)。 車体骨格の剛性を等価にしたことで,路面からの入力によって発生する車体の歪部位,その歪エネルギーを減衰させる減衰接着剤のエネルギー減衰効果を等価にでき,MAZDA3と同等な減衰特性を実現した。効果の一例として路面入力に対する乗員付近の振動レベルをMAZDA3と比較した(Fig. 14)。 その結果,路面から入力を受けた時の前後方向と上下方向の加速度の増加率が等価となり,乗員は滑らかで連

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