マツダ技報 2020 No.37
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―33―aiming for ideal handling and real-world fuel economy performance.2012 CX5.Vibration, noise, and ride comfort, Booming noise/vibration, Full-vehicle simulationDrivetrain Development Dept.Electronic Platform Development Dept.Katsutoshi ShimadaSeiji HidakaChassis Dynamics Development Dept.Daisuke UmetsuYasumasa Imamura1.はじめにIntroduction of New Generation i-ACTIV AWD特集:MAZDA CX3006 マツダは,1970年代からフルタイム4WDシステムの技術開発をスタートし,国産車初の乗用フルタイム4WD車である1985年の「ファミリア 4WD」を発売。センターデフ式4WDと低速用デフロック機構を有し,高い走破性を実現していた。1990年代には「ボンゴフレンディ」や「トリビュート」でロータリーブレードカップリング式4WDを開発し,4WDモデルの課題であった燃費との両立に取り組んだ。2000年代からは電子制御多板クラッチ式4WDの技術開発をスタートし,初代「アテンザ」で初導入。2005年の「マツダスピードアテンザ」ではハイパフォーマンスAWDセダンの開発を通し*1,4  ドライブトレイン開発部 *3  電子基盤開発部 嶋田 克利*1梅津 大輔*2今村 泰理*3日高 誠二*4てノウハウを蓄積してきた。 現行世代につながる2012年の初代「CX5」に搭載した「i-ACTIV AWD」では,電子制御式多板クラッチユニットに独自の高度な制御アルゴリズムを組み合わせたAWDシステムへと進化。それまでの四輪駆動のクルマというと,一般的に直進安定性が高い一方でアンダーステア傾向が強く,曲がりにくさを感じるものであったが,i-ACTIV AWDではドライバーのステアリング操作に応じて後輪トルクをリニアに変化させることで類まれな曲がりやすさを実現し,誰もが扱いやすいAWDを提供してきた。 MAZDA3から採用した「新世代i-ACTIV AWD」では,ドライバーの操舵に合わせてエンジントルクを制御し,4*2  操安性能開発部 要 約 マツダは,長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づき,クルマのもつ魅力である「走る歓び」によって,「地球」,「社会」,「人」それぞれの課題解決を目指している。AWDシステムでは,人の能力を引き出し,心と体を活性化させる「人馬一体」感のさらなる追究と,実用環境下における燃費性能の両立を掲げて技術開発を行ってきた。本稿では,2012年 CX5以降の車両に順次搭載してきた「i-ACTIV AWD」をベースとして,ハードウエア/ソフトウエアとも大幅に進化した,CX30搭載の「新世代 i-ACTIV AWD」について紹介する。SummaryBased on a long term vision, “Sustainable “Zoom-Zoom” 2030”, Mazda aims to solve a variety of issues facing the “earth” “society” and “people” through “driving pleasure”. Mazda AWD system has been developed by further pursuing “Jinba-ittai” to bring out human potential and boost the excitement of mind and body while This article introduces “New generation i-ACTIV AWD” for CX30 supported by significantly improved hardware and control system while sustaining the characteristics of the original “i-ACTIV AWD” mounted from Key words: Power transmission, All-wheel drive system, Drivetrain, Vehicle dynamics, Driving stability, 新世代i-ACTIV AWDの紹介

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