マツダ技報 2020 No.37
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(TOYO)○○△△○○○△△××△△△―40―A2B×313.2 自動運転装置の構成 自動運転装置の移動局のシステム構成は,Fig. 3となり橙色部分が,イタリアHITEC社製の実車走行試験用のロボット「Navicontrol」(3)である。Real Time Kinematic GPS (RTKGPS) 測位と慣性計測装置:Inertial Measurement Unit (IMU) の情報を車載するコントロールユニットが演算してアクセル,ステアリング,ブレーキ,それぞれのロボットを制御して自動運転する。RTKGPS測位は,移動局の座標と速度を高精度に保つために,基地局のGPS測位情報を受信して移動局のGPS測位情報をリアルタイムに解析する情報補正によって成立する。自動運転の範囲となるテストコースの全域で基地局と移動局の通信をカバーできるLTE回線を選定している。なお自動運転リスクの中で予測が困難な車両前方の小動物の飛び出しなど障害物に対しては,レーザーセンサーを追加しておりシステムが異常を検知し緊急停止によって衝突を回避する。またリモートコントローラーを使用することで自動運転コース内の軌道までの移動とロボットシステムの簡易的な作動確認をドライバーが乗車して実施することもできる。3.3 フェイルセーフ 耐久車の安全走行は,これまでは車両を運転するテストドライバーの技能に委ねられていた。自動運転装置は,システムが車両の走行状態を監視しており,規定した車Required PerformanceCompany HITEC UnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknownTable 1 Autonomous Driving Device ComparisonItemUsing to the Rough RoadRunning Simultaneously of Other Vehicles4m Road Width, Sloping Road, 1km/LapBad Weather (Rain, Fog, Snow)Double or More SystemsEase of Maintenance and CareComprehensive EvaluationFig. 2 Autonomous Driving DeviceCompany Fig. 1 Reliability Test of Vehicle3. 自動運転装置の概要3.1 自動運転装置の選定 ドライバーの労務環境の改善やテスト精度と効率の向上を目的とした悪路耐久試験への自動運転技術の活用事例は1990年代より報告されている。それは,コース両脇に埋設された誘導ケーブルからの磁界を走行車の誘導コイルアンテナで検出して走行コース中心からのずれ距離を小さく制御するもので路車協調型(1)(2)と呼ばれて専用コースを使用している。一方,マツダが選定した方式は,Global Navigation Satellite System (GNSS) から得られる車両位置と速度情報を活用する自律型(1)の高精度GPS方式である。この方式のメリットを路車協調型と比較すると,既存のコースを活用して自動運転範囲を段階的に変更することが可能であることである。自律型の3社について機能を比較した結果をTable 1に示す。試験結果に影響する周回精度と安全システムの作動状態は,デモ機で確認した。悪路耐久試験に耐え得る取り付け方法や装置トラブル発生時に対応するサポート体制などが決め手となってマツダは,イタリアHITEC社(技術サポート:東陽テクニカ)の自動運転装置を導入した(Fig. 2)。本稿では,STEP1である1周1kmのコース内にある二種類の固定悪路を使用した耐久試験方法の活用事例を紹介する。新たな取り組みであり段階を踏んで着実にステップアップする計画としている。CategoryDurabilityNetwork CommunicationStability of Network CommunicationDrivingExtensibilityApplicable RoadApplicable WeatherSafetyFail SafeSupportTechnical Support走行することで発生する水・泥・埃などを含めた複合的な入力に対する信頼性を評価している。

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