② 骨盤形状及び大きさ 被験者データを基に計測したASIS角度及びASIS-恥骨結節間距離について,男女別に分析を行った。それぞれの平均値は,ASIS角度:男性107.36°,女性105.43°,ASIS-恥骨結節間距離:男性89.98mm,女性90.47mmであった。また,各因子のバラツキを調べると,ASIS角度は男性と女性の間に差はほぼ無かったが(Fig. 7a),ASIS-恥骨結節間距離では男性より女性の個体差が大きい結果となった(Fig. 7b)。いずれの因子も,年齢・身長・BMIとの相関は見られなかった。(2)人体FEモデルを用いた衝突時の挙動解析 2.2節で定義したa-c各因子について,前面衝突時のラップベルト及び乗員挙動への影響を,2.2節第4項の手法で作成した人体FEモデルを用いて解析し,次の結果を得た。 骨盤角度違いによる比較では,角度が大きくなる(骨―53―Fig. 6 Regression Analysis on Correlation of PAFig. 7 Analysis of Individual Di■erences in Pelvic Shape and SizeFig. 8 Analysis of Lap Belt and Pelvic Kinematics Using Fig. 9 Analysis of Lap Belt and Pelvic Kinematics Using Three HBMs with Di■erent Pelvic ShapeThree HBMs with Di■erent Pelvic Angleから,人体における姿勢変化は胸椎を中心に頸椎・腰椎・仙骨・骨盤の各アライメントを変形させることで実現していることが示唆される。その変形量に差が生じることで,骨格アライメントの個体差が引き起こされると考えられる。盤後傾)程ラップベルトの骨盤上でのずれ上がり量も増加した(Fig. 8)。更に,最大腰前進量及び最大腰回転角度の増加(より後傾)も確認された。 骨盤形状を比較した解析では,ASIS角度が大きい(形状が平坦になる)程ベルトずれ上がり量も増えた(Fig. 9)。一方で,腰前進量及び回転角度に差は見られなかった。 骨盤大きさの比較では,定義した部位の距離が小さい程ベルトずれ上がり量も増加した(Fig. 10)。また,腰前進量には差が見られなかったが,腰回転角度は距離が小さい程後傾しやすいことが分かった。 いずれの因子も,ベルトずれ上がりに寄与することが確認された。これら3因子のベルトずれ上がりへの寄与度は,骨盤角度が最も大きかった(Fig. 11)。つまり,骨
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