マツダ技報 2020 No.37
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―67―Robot 1 Robot 2 Jig Module Fig. 8 Commonized Cell Module6.3 工程モジュール 車体のメインラインは車体のラインの中では汎用化が進んでおり,製品の進化に対して大きく工程改造をすることのない高い汎用レベルを維持してきた。しかし今後,構造,新工法,加工量の大きな変化(進化)により,現状の生産ラインでは対応できないことが必ずでてくる。メインラインについてもラインへの加工機能の追加は改造による対応ではなく工程単位のモジュールの追加で対応する。これを工程モジュールと定義した。現行ラインの生産をしながらモジュールの追加対応を可能とし,面積を変えずに実現するためにラインの加工効率を上げて工程を集約し新工程を間に挟み込むことが可能な形を準備した。 工程モジュール実現のために以下に取り組んだ。・ 搬送システム高速化による加工可能時間拡大・ ロボットと溶接機とラインコントローラーの接続制御の見直しによる溶接高速化・ 加工部位ごとにグルーピングし,加工機をモジュール化(Fig. 9)・ モジュール化した加工機の組み合わせにより高密集配置(Fig. 10)Fig. 9 Modularization for Each Processing PortionFig. 10 Process ModuleFig. 11 E■ects of FML7.今後の課題大限の加工効率を目指し,省スペースかつ高い汎用性を実現した。これを汎用セルモジュールと定義した(Fig. 8)。 以上に述べた3つのモジュール構想により,製品の進化を妨げることなく,高効率の生産を実現する仕組みを作り上げた。 本取り組みにより変化に強い体制になったことと合わせて量産準備における期間,投資及び工数の面で大幅な低減を達成することができた。Fig. 11に各対応における低減率を示す。 同一ライン内での生産台数の変更(縦スイング)については期間,投資,工数全ての低減率が従来比で100%,すなわちは対策不要となった(Fig. 11-①)。 生産ラインの移管や追加(横スイング)については従来比で期間が63%,投資が54%,工数が70%の低減を達成した。(Fig. 11-②)これにより想定以上に大きな市場のニーズの変化が起こった際でも従来よりも短期間で車を届けることができるようになった。 新車導入においては期間23%,投資50%,工数30%の低減を達成(Fig. 11-③)し,新商品をより早くお客様に届けることができる。 2020年時点で次世代車体ラインであるFMLの1本目を宇品車体工場に展開し1車種目としてCX30を量産中である。更に,2車種目としてMX30の導入を完了し量産を開始した。 今後FMLの効果を最大限に発揮するために全生産拠点のFML化を進めていく。その課題は同体質性(Global One Engineering)の維持である。FMLの展開が進む中で新技術の開発や車体新構造の採用など量産準備の要件は

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