マツダ技報 2020 No.37
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 rewoPgnittuC―71― Vertical axis Fig. 6 Tilted Tool AxisFig. 7 Example for Cutting Area BoundaryFig. 8 Mold Structure in CX30C‐Axis Fixed 5‐axis Vertical axis Axis No.1 Area “A” Improvement of Mold Rigidity B‐Axis Fixed 5‐axis Actual Surface Axis No.2 Original Surface Area Boundary Area “B” Y Z X Previous New Number of Blades::Many Helix Angle::Large Helix Angle ‐40% Fig. 9 Experimental ResultsFig. 10 Cutting Load Variation造から,キャビティ全体を縦壁でつないだ金型構造を採用している(Fig. 8)。そのため,干渉回避のために加工エリアをこれまで以上に細分化する必要があり,境界段差による磨き調整作業が多発する恐れがあった。 そこで,加工精度のばらつき起因となる加工エリアの分割がなく,形状面を縦軸のみで連続加工する1エリア1方向加工の技術開発に取り組んだ。3.2 1エリア1方向加工実現の取り組み(1) 1エリア1方向加工を実現するためには,バンパーの深い形状に対応する従来比2.8倍の長い工具でも,工具撓みを少なくできる安定低負荷切削と,剛性低下がなく全ての形状を干渉回避できる切削工具把持ホルダー(以下,ホルダー)の開発が課題であった。 まず,安定低負荷切削の実現については,切削工具の刃先形状及び切削条件の最適化を行った。最適条件は,品質工学手法と切削シミュレーションを組み合わせて導出した。 刃先形状は,切削工程や被削材硬度など使用環境に応じて形状が異なる。今回は,形状クリアランス実現に最も影響の大きいバンパー金型の形状仕上げ加工を想定して実験した。 切削シミュレーション結果より,切削工具の刃数は従来の2枚刃と比べて,多刃の方が良好な結果を得られた(Fig. 9上)。多刃にすることで,1刃あたりにかかる切削負荷が低減でき,安定した切削を実現できたと考える。また,刃先形状は,刃先のねじれ角を従来よりも大きくする方がより良好な結果を得られた(Fig. 9下)。これは,切削工具と被削材の接触距離が長くなることで,切削負荷が分散されたと推測する。刃先形状及び切削条件の最適解を用いた結果,切削負荷を40%抑制できることを確認した(Fig. 10)。 次に,剛性低下がなく,かつ,深い形状でも干渉のないホルダーについては,テーパー形状の焼き嵌めホルダーを採用し,工具長を短くしつつ干渉のない加工ができるようになった。切削工具及びホルダー全体での撓み量を従来比73%改善し,剛性不足が原因で発生する切削負荷のばらつきを低減した(Fig. 11)。更に,切削工具とホルダー形状を金型製造要件として金型設計に織り込むことで,1エリア1方向加工を実現した。

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