マツダ技報 2020 No.37
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2φ)(21(..31909φ−22(−−v=E0φ) E= (2)発泡樹脂系多孔質材 発泡樹脂系材料に対するユニットセルの形状としては,Fig. 8に示すような泡の三次元構造の一種として知られるKelvinセル構造を用いた。微視構造は棒状の骨格による四角形と六角形で構成されている。今回検討したのはユニットセルの3辺の長さが同じ場合で(wx=wy=wz=wf),四角形及び六角形の空孔の大きさはそれぞれおよそ1/3wf及び2/3wfである。ここでは,1μm≤wf≤1mm,0.905≤ϕ≤0.992の範囲において計50のサンプリング―78―α∞=1.43-0.43ϕ –2 (1-ϕ)0.355 σ=3.88×10–3 wf[Pa∙s/m2]Λ=0.094 wf (1-ϕ)–0.359 [m] Λ'=0.383 wf (1-ϕ)–0.149 [m] α∞=1.0+1.03 (1.0-ϕ) σ=3.33×10–4df–2 (1.0-ϕ)0.16            [Pa∙s/m2]Λ=0.70df (1.0-ϕ)–0.15 [m] Λ'=0.76df (1-ϕ)–0.13 [m] φ)[]pa2.4 微視構造パラメーターとBiotパラメーターの関 繊維系及び発泡樹脂系の多孔質材について,微視構造パラメーターとBiotパラメーターの関係式の導出を行った事例を示す。Biotパラメーターのうち,固体相に関連する見掛けのヤング率E,質量密度ρ,ポアソン比 ν,流体相に関連する空孔率ϕ,単位厚流れ抵抗σは均質化法で直接求めることができる。また,迷路度α∞と粘性特性長Λは等価密度,熱的特性長Λ'は等価体積弾性率から最小二乗法を用いて同定する(15)。(1)繊維系多孔質材 繊維系材料に対するユニットセルの形状としてはFig. 7に示す井桁構造を用いた。単純化するため,ここでは厚さ方向の繊維のつながりは考えていない。したがってここでは流体相に関するパラメーターのみを求める。 繊維径dを0.5μm~100μm,空隙率ϕを0.75~0.99の範囲に設定して計50のサンプリングを行って,各々Biotパラメーターを導出した。更に微視構造パラメーターを繊維間平均距離dfと空隙率ϕとして,最小二乗法により各Biotパラメーターとの関係式を導出し,式(1)~式(4)に示す結果を得た。流れ抵抗 σ はdf2に反比例,特性長Λ,Λ'はdfに比例しており,経験的に知られている関係と一致している。Fig. 7 Unit Cell and Microscopic Structural Parameters (1)(2)(3)(4)of Fibrous Porous Materials: Girder StructureFig. 8 Unit Cell and Microscopic Structural Parameters (5)(6)(7)(8)(9)(10)3. エンジンカプセルの吸音部品開発への適用 CX30,MAZDA3に搭載されているSKYACTIVXエンジンでは,燃費性能と静粛性能を両立させるため,エンジンルーム内のカプセル化技術が施されており,断熱性能と吸遮音性能の高い部品でエンジンが覆われている(16)(17)。ここでは構築した吸音材微視構造設計プロセスをエンジンカプセルの吸音部品開発へ適用した事例を示す。 エンジンカプセルの吸音部品に用いられる発泡樹脂材をKelvinセルでモデル化した。2.3に示した設計プロセスにおいて,微視構造のパラメータースタディを遺伝的アルゴリズムによって行い,吸音率を最大化する微視構造パラメーターを求めた。吸音材の厚さは20mmで,目的関数は低減したい1kHz~5kHzにおける垂直入射吸音率の平均値とした。材料選定の段階で,耐熱性,成形性,コストなどの要件から,材料をウレタンに絞り込み,セルサイズwfのみを設計変数としてその最適なサイズを求めることとした。材料の特性値をTable 1に示す。 スタディ数をN=600として,遺伝的アルゴリズムを用いて垂直入射吸音率の予測計算を実施した結果,目的関数を最大化する解としてwf=200μmが得られた。このときの吸音率算出結果をwf=280μm,360μmのときの結果と合わせてFig. 9に示す。of Foamed Resin Porous Material: Kelvin Cellを行い,Biotパラメーターの導出を行った。求めたwf,ϕとBiotパラメーターの関係式を式(5)~式(10)に示す。ここで,E0は発泡樹脂の素材のヤング率である。流れ抵抗はwf2に反比例,特性長はwfに比例しており,経験的に知られている関係と一致している。係式導出

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