マツダ技報 2020 No.37
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wf[μm] [kg/m3]―79―ρ[kg/m3]Loss Factor ηϕϕρηDensity1,2800.1Cell size84.7Fig. 11 Calculated Sound Absorption Coe■cients for Normal Incidence using Properties in Table 2 Loss Factor0.395Table 1 Properties of Urethane Foam used in the Development of Sound Absorbing MaterialsPorosityYoung’s E0[MPa]Modulus0.8824Fig. 9 Calculated Sound Absorption Coe■cient of (Unit Cell Size wf=200μm Maximizes Performance) この結果を踏まえ,現状の製品製造プロセスを使って,空隙サイズを変えた2種類(wf=286μm,647μm)の吸音材を製作した。それらの垂直入射吸音率の実測値をFig. 10に示す。ウレタンのセルサイズを目的関数が最大となる解析結果に近づけることで,ねらいの周波数帯域で高い吸音性能を得た。Material in Table 1 for Normal Incidence Fig. 10 Measured Sound Absorption Coe■cient for Normal Incidence of Engine Cover made of Foamed Resin MaterialAbsorption PerformancePorosityYoung’sE0[MPa]DensityModulus0.9891521,069 (1kHz – 5kHz avg. 0.87)4. まとめ 最後に,最大の吸音性能を得る材料特性を導出するために,固体相に関する全ての特性値 wf,ϕ,E0,ρ,ηを設計変数とした場合の計算事例を示す。目的関数は先ほどと同様1kHz~5kHzにおける垂直入射吸音率の平均値とした。スタディ数N=600として,遺伝的アルゴリズムにより得られた目的関数を最大化する設計変数をTable 2に示す。また,このときの垂直入射吸音率算出結果をFig. 11に示す。1kHz以上の吸音率がほぼ0.9と,ねらいの周波数帯域において平坦で高い性能を示している。非常に小さなセルサイズ84.7μmを実現することによって,高い吸音性能を達成できる可能性があることを示唆している。Table 2 Material Properties that Maximize Sound  本稿では,材料MBRの考え方に基づき開発した,所望の音響性能を得るために必要な多孔質吸音材微視構造を高精度かつ効率的に設計する技術の概要と,本技術を自動車の吸音部品開発に適用した事例について報告した。より高い性能の吸音材を開発するためには,多孔質材のセルサイズのばらつきを小さくし,ねらいのサイズにするための製造方法の開発が必要である。 一方,今後ますます厳しくなる燃費規制をクリアして環境負荷を大きく低減しつつ,お客様価値を向上させていくためには,コスト・重量効率を飛躍的に向上させていかなくてはならない。このためには部品の高機能化に加え多機能化が必須である。材料MBRのアプローチを断熱性能など他性能に対する材料設計にも適用して,多機能統合材料実現のための複数機能同時制御設計技術の構築を進めていく。

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