マツダ技報 2020 No.37
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―81―In order to realize multi-material body, we are conducting researches on joining of aluminum and carbon fiber reinforced thermoplastic resin by using friction stir spot welding. In this report, the e■ects of aluminum surface treatment on strength properties were investigated by conducting shear tensile strength tests, fatigue tests, constant temperature and humidity tests, and thermal shock tests. As a result of comparative evaluation of two types of aluminum surface treatment for the purpose of improving chemical bond strength and giving anchor e■ect, both types showed a tendency to improve strength properties and reliability, and reduce variation, compared to the non-treatment material. Although the adhesiveness derived from the resin matrix components varies depending on the material, it is possible to improve robustness by using it in combination with aluminum surface treatment when using this joining process.1.1 背景 世界各国の厳しいCO2排出量規制や電動化への対応を目的に,自動車車体の軽量化の要求は年々高まっている。軽量化を実現するための手段の一つに車体のマルチマテリアル化がある。鋼板車体をベースにアルミニウム,樹脂材料など異なる材料をそれぞれの特性を活かしながら適材適所に使用することで,車体に求められる性能の確保やコストとの両立を図りながら軽量化することが可能となる。車体をマルチマテリアル化する際の課題として,熱ひずみの抑制やガルバニック腐食防止などに加えて重要となるのが異種材料接合技術の確立である。自動車への量産適用を考慮した接合技術の開発において,可能な*1  技術研究所 Technical Research CenterHiroshima UniversityKojiro TanakaYuki OgawaKey words: Materials, Aluminum alloy, Polymer material, Joining, Weight reduction1. はじめにE■ect of Surface Treatment on Strength Properties of Aluminum/CFRTP Spot Joining論文・解説14限りリベットなどの副資材を使用しないことやロボットによる自動化が可能であることなど,製造コストや生産性を含めて検討する必要がある。1.2 摩擦撹拌点接合の金属/樹脂接合への応用 異種材料の組合せの中で,今後自動車への採用増加が見込まれるアルミニウムと熱可塑性繊維強化樹脂の接合では,手法の一つとして摩擦熱を利用した研究が進められている(1)-(3)。マツダではこれまでアルミニウム同士やアルミニウム/鋼板の組合せにおいて,プローブ付きの回転ツールを使用した摩擦撹拌点接合技術(Friction Stir Spot Welding,FSSW)を実用化してきた(Fig. 1)。この技術を応用し,回転ツールをアルミニウム側に押し当て重ね合わせた相手側の樹脂を溶融させる溶着法がアルミニウム/樹*2  広島大学 田中 耕二郎*1小川 裕樹*2要 約 自動車車体のマルチマテリアル化を実現するため,摩擦撹拌点接合を応用してアルミニウムと樹脂を接合する研究を進めている。本報では強度特性に及ぼすアルミニウム表面処理の影響をせん断引張試験,疲労試験,恒温恒湿試験,冷熱衝撃試験を行い調査した。化学結合力向上及びアンカー効果付与を主目的としたアルミニウム表面処理2種について比較評価を実施した結果,2種ともに無処理材と比較して強度特性や信頼性は向上し,バラツキも低減する傾向を示した。樹脂母材由来の接着性は材料によりさまざまであるが,本接合技術を使用する場合はアルミニウム表面処理と組み合わせて使用することでロバスト性の向上が可能である。Summaryアルミニウム/樹脂異種材料点接合の強度特性に及ぼす 表面処理の影響

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