クルマづくりの歴史

マツダの名車たち Great Cars of MAZDA

多用途車「ボンゴ」の誕生

 マツダ関係者ならずとも、「ボンゴ」と聞いて直感的に箱型のクルマを思い浮かべる人は多いだろう。エンジンを床下に置くキャブオーバー型車として一世を風靡し、ワンボックスカーの代名詞ともなったボンゴは、今から42年前に誕生した。
 1966年、水冷4気筒800ccエンジンをリアに搭載する超低床式多用途車として、ボンゴは発売された。トラック、バン、コーチなどが同時に市場デビュー。コーチはバンのボディに3列シートを搭載して8人乗りとした乗用モデルで、いわばワゴンのはしり的存在だった。初代ボンゴの最大の特徴は「超低床」。床面地上高はトラックで460mm、バンで450mmという大人の膝ほどの低さである。また、ボンゴは軽量クラスのキャブオーバー型バンとしてパイオニア的存在で、これ以降、ワンボックスカーの代名詞として定着することになった。

ブームを巻きおこしたワイドロー

 1977年には2代目ボンゴを発売。全モデルで小径ダブルタイヤ採用という、低床化への新たなアプローチが注目を集めた。タイヤハウスが消えたフラットな低床は、トラック(ボンゴワイドロー)ではクラス初、バンにいたっては業界初であり、市場に大きなインパクトを与えた。タレントの山城新吾氏を起用したユーモラスなCMも秀逸でボンゴシリーズは瞬く間に大ヒット。月5千台をコンスタントに販売し、マツダの国内ディーラーの最量販車種ともなった。ボンゴワイドローの成功は、その後同クラスの低床車市場への一斉参入を促した。

2代目ボンゴ

2代目ボンゴ


意欲的に機種を充実

 1983年には3代目ボンゴにバトンタッチし、この時にボンゴの兄貴分にあたるボンゴブローニイも誕生する。ブローニイは1~1.5トン積みをカバーする本格的な小型クラスで、多彩な機種バリエーションを誇り幅広い市場ニーズに応えた。3代目ボンゴは実に16年にもわたる長寿モデルとなるが、その間、待望の4WD車やオートマチック車の追加で機種を充実、さらに電気自動車「ボンゴEV」の発売、トラック/バンのOEM供給開始など、数多くの話題も提供した。

3代目ボンゴブローニイ

ボンゴブローニイ


進化し続けるボンゴ

 4代目ボンゴの登場は1999年。安全性能や環境性能への社会的要求が高まり、セミキャブオーバー型
*1が増えてくるなか、ボンゴは伝統のキャブオーバースタイルにこだわった。不利なレイアウト条件を研究を重ねることで克服。安全性の高いキャビンと、広い荷室空間を見事に両立させた。2003年にはDPF*2搭載のクリーンな新型ディーゼルエンジンを開発。環境性能を一段と高めたボンゴとそのOEM車は、2007年現在でも軽量クラスの商用車トップシェアを維持し続けている。

*1:短いボンネットを持つキャブオーバー型。ボンネットがある分安全性が高いといわれている
*2:Diesel Particulate Filter:ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる有害粒子を除去するフィルター